マティチョンは、「政治への攻撃計画:NCPO議長命令2017年53号は、遺体を縛る計画」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 NCPO議長命令2014年57号が適用されて以降、政党の活動が一切禁じられているため、NCPO議長命令2017年53号に対しても同命令が適用されている。これが再び政治家を攻撃するための標準型となっている。2014年には政党の活動を禁じたが、2017年には、古い政党を「(亡骸として火葬するために)縛り付け」(マットトラサン)、新しい政党に便宜を図る目的で使用されている。

 ステープ・トゥアクスバンPDRC事務局長とパイブン・ニティタワン改革国民ネットワーク代表が連携調整しながら提案した政党法への問題提起を背景として、NCPO議長命令2017年53号が発出された。二ピット・インタラソムバット(民主党副党首)からの要求や、ソムサック・プリサナーナンタクン(タイ国民発展党幹部)からの要求、チャイカセム・ニティシリ(元法務大臣・タイ貢献党幹部)からの要求をまとめて合わせて、(政党法で規定される登録手続き期限を)「リセット」し、(全ての既存政党を解党する)「セット・ゼロ」にしようとしたのであった。

 NCPO議長命令2017年53号による「彫刻作業」は、政党の心臓部への攻撃に等しく、1946年4月から続く最も長い歴史を誇る政党の280万人の民主党員を打ち砕くものである。ピブン・ソンクラム元帥の時代もタノム・キティカッチョン元帥の時代も激動を乗り越えてきたのに、民主党はNCPOの時代に破壊されることとなる。軍人新党のために民主党員を誘導しようとする或る「爺さん」(注:ステープ)の役回りに対して、怒りを込めた言説が党内で見られるようになっている。この怒りには、標的が居るのである。もし仮に緊密に民主党内部の人々と事前に相談をしていたのであれば、NCPO議長命令2017年53号のような「彫刻作品」を築き上げることは困難であったであろう。

 2006年9月以前の状況と2014年5月以前の状況は関連性がある。「無駄」となったクーデターからの教訓はどこにあったのであろうか。実際のところ、タイ愛国党、国民の力党、そして現在のタイ貢献党と権力掌握を争っていたのは、数多くの政治的意図を反映したものであったかもしれないが、現行2017年憲法に至っても、その目的それ自体に変更はない。ただし、NCPO議長命令2014年57号とNCPO議長命令2017年53号が組み合わさって、その標的が拡大しており、タイ貢献党だけに限定されてなくなっているのである。一部の政治家のように「可愛く」振る舞わなければ、上記の命令により、民主党もタイ国民発展党も、タイ名誉党のような旧政党でさえも標的となるである。この命令の効果として、政党側の考え方に変化が起こるのかどうか、この先長くないうちに回答は導かれるであろう。

 (選挙に向けての)政治手続きのカウントダウンが進むにつれて、より混迷が生じている。なぜなら希望していることは、権力を継承することであり、それが重要な目的なのであるからである。政治の発展のために重要であり、古い政党を縛り付け、新しい政党の権力を徐々に終焉させていくために重要なのである。全ては「選挙の前に改革」のためなのである。