ポストトゥデイ・オンライン版は、「総選挙の延期、更に遅らせれば、更に疲れる」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。
総選挙延期の噂は、再び話題となって戻ってきた。予定しているロードマップ通りに進まないように様々な出来事により妨害されようとしている。これまでプラユット首相兼NCPO議長は、2018年中に総選挙を実施するとの明確な合図を送っており、何も問題がなければ、2018年11月に総選挙を実施すると準備をしているが、それでも実際に総選挙が回避されることなく、実施されるという確固たる信頼を得られていない。重要なことは、もしNCPOが総選挙実施の延期を決断すれば、言い訳に使うことが出来る多くの理由が用意されていることである。ただし、その理由を聞いて社会が納得するかどうかは別の次元のことである。
第1の理由は、総選挙の実施に必要な憲法付属法が制定を終えなければいけない時期までに終わらないことである。これが「ドミノの先頭」となり、総選挙実施までの全ての過程に影響を及ぼし、延期に結びつくのである。憲法第268条の規定では、総選挙の実施に関わる4つの憲法付属法が公布・施行された後150日以内に総選挙を実施しなければならない。現在までに政党法、選挙管理委員会法の2つの憲法付属法が公布・施行されており、残りは、下院選挙法と上院選出法の2つとなっており、国家立法議会(NLA)で審議中となっている。先の2つの付属法の制定以降、総選挙の実施を延期させるためにNLAでこれら残り2本の法案を否決するようにキャンペーンが行われるのかどうかが再び注目の的となっている。それは、法案が廃案になるということではないかもしれない。下院選挙法と上院選出法は多くの観点から批判に晒されており、そのため議論が続いて折り合いを付けることができず、最後には審議期間が延長にならざるを得なくなるということも有り得る。さらに新たな話題として、既に施行されている政党法が規定する幾つかの条件を修正するように同法を改正すべきという議論が社会の多くの人々から提起されている。
第2の理由は、政党が選挙に臨む準備が整っていないことである。現行憲法及び憲法付属法によるルールの下では、各政党が党員名簿の変更を通知し、党員総会を開催し、新たな党役員を選出し、党運営規則を改正することを2018年1月5日までに完了することを義務づけられている。重要な問題はこの期限日である。NCPOは依然として、政党活動の禁止、党会議禁止の解除を認めようとせず、従って、選挙へ向けての準備を進めることができないのである。NCPOからの禁止命令解除が延期になっていることで、NCPOは総選挙を実施できないようにするための条件を整えようとしているのではないかと見られている。なぜなら、憲法付属政党法が施行されてから、既にある程度長い時間が経過しているが、同法が定める必要な手続きを行えないまま時間が過ぎ去っていっているからである。明確な理由もなく延期が続けられており、更に様々なグループが既存政党と新政党の間の公平性を根拠として、政党法の改正を要求していることも重なって、総選挙の実施が延期されるとの噂がより広まっているのである。政党法の改正を要求しているグループに注目すれば、NCPOが政権の座を継続することへの支持を表明している人々のグループに過ぎないことが分かる。各断片を組み合わせれば、現在の動きの背後にある秘密のイメージがより鮮明に見えてくるであろう。
第3の理由は、「選挙の前に改革」(のスローガン)を再び提起することである。この理由は、最も重要度が低いが、この理由を掲げる動きがあり、併せて、先日プラユット首相から国民への「6つの質問」が提起されている。同質問では、未だ改革が終わっていない段階で、総選挙が実施されたら、その後どのような問題が生じるのかを考えておくくようにと要請されている。つまり問題はこの点なのである。これまでの3年間で政府、NCPOは、絶対的権力を手にしておきながら、改革の全体的な成功に導けないでいるのである。だから成功させるように政権の座に留まり続けるというのである。
上記の3つの理由が総選挙の実施を延期させるための口実となる。しかし、総選挙の延期は、最終的には、国家とNCPO、政権にとって、利益よりも損害の方が大きくなるだろう。現在、改善しつつある国際社会との関係を考えると、もし、これまでの予定を更に延期することになれば、国内の状況も悪化することになる。プラユット首相、政権、NCPOへの信頼度は、低下し続けていくことになり、政権運営にも支障を来すようになり、より困難な状況に追い込まれるだろう。