マティチョンは、「PDRCの戦略、政治のペース、標的は明確」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 ターウォン・セーニアム氏の動きもウィタヤー・ゲオパラダイ氏の動きも「戦略」という観点から重視して注目しておかなければならない。なぜならこの2人は、PDRCの幹部であるからである。彼らは、2013年11月の(PDRCの)政治運動の開始時点から参加しており、2012年1月の「バンコク・シャットダウン」の際に重要な役割を果たしてきた。「ゴム価格危機」と「警察職位売買」を標的としたことで、全てが沸騰するような状況である。「二手に分かれる」戦術である。一方の標的であるゴム価格の管理の責任者は誰であるのか、そしてもう一方の標的である警察職位売買の責任者は誰であるのか、その答えは、「NCPO」である。

 テーサー・シリワートー警察中将・第8管区司令官が国家警察本部実行センターへ異動になった処分を評価すれば、警察側は、ウィタヤー氏による追及にどのような背景があったのかについて、よく理解していることが覗える。ウィタヤー氏による警察職位売買への追及は、サンシット・ピリヤランサン氏の役割に似ているが、両者の関係を理解するためには、両者が国家改革会議(NRC)を受け継いだ国家改革推進会議(NRSA)の議員であったことに注目しておかなければならない。それ以外にも両者は、NRSAの「警察改革委員会」のメンバーでもあり、パジュン・タームプラティープ海軍大将とも一緒であった。パジュン海軍大将も以前に同様の問題を提起して、闘いを挑んだこともある。

 ウィッタヤー氏は、ターウォン氏と調整の上で行動しているのであり、偶然に一致したようなものではなく、その反対である。ターウォン氏が農業協同組合大臣に対して、自発的に辞任することを呼びかけたことは、プラユット首相の紳士らしさに対しての警告であった。同時にウィタヤー氏は、「警察内部では皆が知っている。この国では警察少将が警察大将よりも大物であること」と主張している。これは、NCPO内の「大物」を攻撃することを狙った大砲弾(キャノンボール)に間違いない。その主要な意図もターウォン氏と同様である。つまり、プラユット首相を煩わせないことである。「二手に分かれる」戦術の実践である。「挟み撃ち」にしようとしている最終的な標的は、プラユット首相ではなく、「別の誰か」である。

 民主党に復党後のPDRC幹部の動きは、非常に興味深い。移行期の首相は誰が望ましいと主張しているのであろうか。PDRC幹部から復党したばかりの先鋒達は、はっきりとした標的があり、それはNCPO内部の人物であることは疑いようもない。ただし、それは絶対にプラユット首相ではないのである。