ポストトゥデイ・オンライン版は、「街での爆弾騒乱、NCPOへのブーメラン」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 郵便による全国各地への爆発物送付事件の捜査状況は、裁判所が捜査当局の要請に従って、7人の容疑者に対して、爆発物販売容疑及び爆発物購入容疑、銃器不法所持容疑、爆発物違法所持容疑で逮捕状を発付するまでに進捗が見られた。興味深いことに、容疑者は、全ての武器類が販売を目的として部隊から横流しされたものであることを自白している。治安維持軍の捜査員による捜査期間中に関係者は合計で20人にまで増加していた。捜査後に判明した関係者は14人であり、その内訳は、軍人7人で、その内男性が3人で、購入者が4人であった。また残りの7人は文民であった。軍人の容疑者に対しては、第1方面軍が倫理違反調査委員会を設置して、規律違反の罰則を与えることになる。注目しておかなければならないことは、どのレベルの軍人にまで罰を下すのかということである。自らが管理責任者である部隊内の倉庫から武器が密売されていることを放置したというミスを犯した部隊長にまで処分が及ぶのだろうか。

 驚くべきことに、この軍人グループは、ウェブサイトを通じて注文を受けて、民間の輸送業者のサービスを利用して約1年間、これまで22回に亘って武器の販売を続けていたことである。最も多い販売量は、銃弾100発であり、それ以外は小規模な顧客達であった。その中には武器収集家や毎年の軍の在庫検査の際に紛失が発覚し、その分の武器の数量を補うために発注をした軍人グループもいた。その他には、現在捜査中の各地でのテロ事案に使用したと思われる者達もいる。

 他方で、トラート県のスクンビット通りの路肩に突っ込んでいたナンバー1510号の黒色のピックアップトラック車内から大量の武器が発見、押収された事件の捜査進捗に関しては、容疑者であるポーキン空軍大佐が武器はカンボジア軍の佐官級軍人から受領したものをターク県メーソット郡に運んで、カレン民族同盟(KNU)に販売していたことを認めている。これまで6ヶ月間に2~3回の密輸を行っていたという。

 上記2つの事件は、国内外での武器の密売を長い間放置してきたという現況での注意不足を強く示唆している。武器の密売に軍人が売り手と買い手の双方で関与していたことは重要な意味がある。これまでの(軍政が与えてきた)圧力は、ブーメランに変化して、軍とNCPOの信頼性を著しく損なわせることになった。

第1に、これまでに爆発事件、暴力事件、混乱が生じた際には、軍は何度も犯人を政治グループの仕業であるかのように結びつける仮定を置いてきた。国の指導者への暗殺計画があるとの噂が流れた時期には、疑わしき全国多数の場所を捜索してきた。他方、NCPOが絶対的権力を保持している時期に何故、武器が十分に管理されていないかのように溢れ出してくるのかという疑念を生じさせることになっている。今回の事件で明らかになった武器の密売には軍人が関与しており、しかもその一部は自らの所属部隊から流出したものであった。この問題は軍が適切な武器の管理が出来ていなかったことを示しており、軍の信頼に大きなダメージを与えることになる。近隣国から容易に武器が流入することを放置し、管理が緩んでいたこと、さらに悪質な問題は、密輸に近隣国と自国の双方の軍人が長期間に亘って関与していたという問題もある。

これらの点により、現在の大量の密売された武器がどのような経緯があり、どのように使用されたのか、その答えを示すサインを見ることができる。これまで混乱を生じさせてきた原因として批難を受けてきた政治家達は、これを根拠として抵抗を示すようになるかもしれない。これらの武器が軍から流出してきたという証拠が明確となれば、残りの問題は、これらの武器がどのような事件に使用されたのかを捜査するだけである。

 これまで爆弾事件、暴力事件が発生する度に、当局は、「目撃情報があり、表側と裏側にあるネットワークについて現在捜査中である」、また「犯人を処罰するため、身柄を追跡中である」と主張してきたことを覚えているだろうか。しかし、時間が経過しても、法手続を進めるために必要な犯人の捜査をしないだけでなく、事件が誰の犯行であったのか、使用された武器がどこから来たのかといったことを結論づけることもなかった。そして、事件が継続的に発生することを防止しようとすることもなかった。その結果、NCPOにはこの問題を解決することが出来ず、尊厳を損なう課題であると思われることになった。2つの事件で武器が発見されたことは、全くの偶然に過ぎず、武器の密売の動きを注視していたからではない。もし軍人が関与する武器の密売を防止することが出来ないのであれば、軍が権力の座に居座りたいために、そのための理由作りとして、騒動を引き起こしているという疑惑の重みが増していくことになるだろう。