ポストトゥデイ・オンライン版は、「赤シャツ弱体化、NCPOのリスク要因が低下」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 ゴーティーこと、パトゥムタニ県赤シャツ幹部のウッティポン・ゴチャタムクン氏のネットワークに関係する7県9カ所の一斉捜査によって、M16が4丁、M79投擲機1丁、騎兵銃1丁、ショットガン1丁、その他の銃器を合わせて13丁と5000発以上の弾薬などが押収された。この捜索は、チャクティップ警察大将・警察長官、シーワラー警察大将・警察副長官、パイシット警察大佐・法務省特別捜査局(DSI)局長、ソムバット警察少将・首都警察局次長、ウィチャーン警察少将・NCPO法務執行部長までが揃って国家警察本部で記者会見を開くほどの大掛かりなものであった。

 この間、捜査当局が違反者、関係者の捜索を続けているが、プラウィット副首相兼国防相は、武器の不法所持容疑の刑事犯として、ラオス政府にゴーティーの身柄引き渡しを要請することを明言し、「ゴーティーはタイ人であり、自身が国家に同情しなければならない。現在、タイ国民は安寧を望んでいるのだ。ゴーティーが過去にどのような行為をしてきた人物なのか見て欲しい。今回の事件に関して、私は特に何かを期待しているわけでは全くないことを強調しておく。これまで何度も戦争を経験し、国家に仕えて来て、私はもう高齢となった」と述べている。これは、赤シャツのネットワークに対して、本気で制圧するという合図を送っていると見ることが出来る。この問題に関しては、プラユット首相及びプラウィット副首相兼国防相の暗殺計画にも結びついていることでもある。

 治安当局の記者会見で、ゴーティーのネットワークがタンマガーイ寺院の信徒グループと刑法第112条不敬罪に該当する活動に関与していると主張していることから見えるように、赤シャツグループの運動が未だ継続中であり、拡大しているように見える。この2つがNCPO政権が重要視している問題である。

 「これらの個人は、2010年の赤シャツの集会に参加していた経歴があり、これまでゴーティーは、SNSを通じて政府及びNCPOへ攻撃をしてきた。タンマガーイ寺院の中に捜査に入ろうとする警察に対抗するように信者を煽動し、衝突させようともしてきた。当局によって逮捕された9人の容疑者の内の1人は、当局捜査員による尾行により、逮捕されるまでの間にタンマガーイ寺院に出没していたことが明らかになっている。」「2017年2月中に国家指導者と国家の重要人物の攻撃を準備していたことが判明している。『子犬同志』と名乗るコードネームの人物が、ユーチューブ上の番組『ファイイェン・チャンネル』の『タイ連邦国家のためのオンライン・ラジオ』を通じて、政府を攻撃しながら、プラユット首相及びプラウィット副首相兼国防相、その他国家の重要人物達の暗殺を準備していること明らかにしていた。」とソムバット警察少将は述べている。

 ウェーン医師・UDD幹部は、急いで反論し、ゴーティーのネットワークと赤シャツの関係を否定した。これは、彼ら自身がクーデターの発生以降、赤シャツの活動に継続的に制限をかけ続けているサインであり、UDD幹部達にNCPOに睨まれて危険に晒すような言動を何もせず、大人しく静かにしているように促しているのである。赤シャツの幹部達は、数年来の刑事訴訟を抱えており、現在、その判決が下される運命が近づいている。

 先日、控訴審は、赤シャツのハードコアグループの一人であるアリスマン幹部に対し、2009年にUDD支持者を率いてパタヤのロイヤルクリフリゾート・ホテルを襲撃し、ASEAN首脳会議を中止に追い込んだ事件に関して、禁固4年の判決を下した。他の幹部も同じように数々の訴訟を抱えており、これが治安へのリスクとなるようなことや政府を煩わせるような活動を何もしないように制限をしている理由である。そのようなことをすれば、訴訟判決や保釈請求などにも影響を受けることになりかねない。これらの要因にによって、赤シャツの力は、これまでのように強固ではなくなっている。その結果、政府にとって、混乱が生じるようなリスク要因を減少させることができるのである。