タイラットは、「タイ名誉党は何をされたのか?」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。
イライラし始めているのだ。ウィロート・パオイン警察中将・タイ貢献党党首代行が「団結国民和解のための意見聴取小委員会」委員長を務めるチャイチャーン・チャーンモンコン陸軍大将・国防事務次官宛に書簡を提出した。その書簡では、プラユット首相兼NCPO議長の下にある軍人達が委員を務めるような委員会は、中立性が欠けているので同委員会を取り潰すことを要求している。そもそも和解のための誓約を実行しないことから察することができるように、特にしっかりとした分析をするまでもなく、タイ貢献党の本音を簡単に読み取ることが出来る。タイ貢献党の動きは、「大ボス」であるタクシン元首相が「法の奇跡」によって、息子、娘が実行した「シンコープ社」株式売却益への課税という「ツケ」を請求されるという不幸な出来事が発生したことと一致している。彼は帰国を我慢する状況が続いており、タイに戻るためのゲートもほぼ閉まりかかっているのである。それ故、タイ貢献党が遠い異国からの合図によって、一方だけが叩かれる国民和解に背を向けたとしても不思議なことではない。
最近、ソムヨット・ブンパンムワン警察大将・タイフットボール協会会長・元警察長官が慌ててジャクティップ警察長官を訪問する出来事が起こった。それは、或る有名なフェイスブックページに対し、刑事事件として申し立てをするためであった。同ページは、「国王の名前を騙り、元政治家と共同経営し、ブリーラム県に隣接するカンボジア国内においてカジノを開業した」とのメッセージを投稿していた。この投稿に関し、ソムヨット元警察長官は、自分はカジノ開業の自由化を支援すべきとの立場を取っているが、そのようなことには関与していないとして、投稿の内容を否定した。重要な点は、ソムヨット元警察長官は、自身が警察官の勤務を開始してから警察長官の勤務を終えるまでの期間に一生涯で、自身も家族も一度たりとも王室の名を騙るような行為はしていないと言明したことである。
それに続いて、アヌティン・チャンウィラクン・タイ名誉党党首も警察長官を訪問するという行動に出た。「カンボジアでカジノを共同経営している」とのフェイスブックの投稿は、真実では無く、名誉毀損に当たるとして、刑事事件の申し立てをするためであった。アヌティン氏も同様に慌てて無秩序でホットな噂を否定したのであった。この前には、タイ名誉党の外側から同党内に影響力を有する大物政治家のネーウィン・チットチョープ氏がブリーラム県警察を訪問している。同氏は、カンボジア領内のカジノの写真と共に自身がカジノの経営者であると投稿した人物に対して刑事手続きを行った。コンピューター・システムを通じて写真とメッセージを投稿し、真実であるかのように誤解させ、一般国民に対する自身の名誉を毀損する意図があり、それにより損害を受けたとの申し立て内容であった。「SNS上で投稿され共有されている話は、真実ではなく、自分はカンボジア国内で一切のビジネスをやったことがないし、国内外でいかなるカジノの経営も共同経営もしたことはない」とネーウィン氏は否定している。
過去のボスがネーウィン氏にゲームを仕掛けたが、まだ着火していないのであろう。興味深いことに、この件は、タイ名誉党を取り仕切っているネーウィン、アヌティン、ソムヨットを相手に発生したことである。彼らは、隠れながら、プラウィット副首相兼国防大臣をボスとする派閥に直結し、一定の中立的な距離をとる派閥と見られている。ネーウィン氏と過去のボスとの間で何らかの裏取引に関する噂が流れた後、タイ名誉党は、調整や結束の役割を果たすため、活発な動きをしている。
タイ名誉党が「団結和解準備委員会」において恩赦の提案をしたタイミングと同時に、アヌティン氏がソンティ・ブンヤラットガリン陸軍大将・元クーデター首謀者を引き連れて、海外に居るタクシン元首相と和解のために引き合わせたという数年前の旧い報道が再び注目された。アヌティン氏は、このことへの対処に追われている。タイ名誉党は、タクシンの方へ将棋の駒を進めたところであったが、その結果、危険な裂け目に直面した。必死に身をよじらせて逃げ出そうとしているが、ほぼ間に合っていない。