ポストトゥデイ・オンライン版は、「選挙実施を延期させるリスク要因」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 2017年の新しい暦が始まってから間もないが、政治状況は熱くなってきている。国家立法議会(NLA)が2017年中に予定している総選挙の実施が2018年半ばに延期になるとの合図を送ってきたからである。もしNLAの普通の議員がそのような見通しを語ったのであれば、それほどの重要性はなかったであろうが、この可能性を語り出したのが、4本の憲法付属法案の審議の全体を監督すべきスラチャイ・リアンブンルートチャイ第1副議長であったから、即時に重要な合図として受け止められた。NLA副議長がロードマップ延期の合図を発したことは、NLA議員達にも影響を与えた。現在の状況から分析すれば、ロードマップを延期させるに十分なリスク要因が少なくとも以下の3点存在している。

 第1に国家改革法の制定である。現在公布・施行を待っている新憲法は、厳しい国家改革のタイムフレームを設定している。憲法公布・施行後120日以内に国家改革推進議会(NRSA)に今後の国家改革の手続きのための法案をNLAへ提案させることになっている。NRSAが法案をNLAに提案すれば、NLAは他の議題に時間を割かず、全部をその法案の審議に費やすことにするだろう。NCPOとしても、単に法律を公布・施行することだけ望んでおらず、NCPOの政権期間中に国家改革に関連する法案を制定し、戦略を策定し、それを開始させることで、国家改革の基礎を築く重要な部分まで進めさせることを望んでいる。それがNCPOにとって、しばらく政権に留まり続けなければならない理由であり、ロードマップを延期させることにつながる。

 第2にNLAによる憲法付属法案の否決がもう一つの注目に値する問題である。これは、直接にロードマップを延期させることつながる要因だからである。新憲法案は、新憲法の公布・施行後240日以内に憲法起草委員会(CDC)に4本の憲法付属法案を起案し、NLAに送付するように規定されている。NLAは、法案を受理した時点から60日以内に各法案を審議検討しなければならない。これまでCDCとNLAは、何度も意見の食い違いを見せてきた。特に(国民投票の追加質問での)名簿外首相の指名選出に手続き関する解釈では、双方の意見は大きく食い違った。NLAは、上院議員が名簿外首相候補の指名を行う権限があると解釈し、他方CDCは、憲法草案を起案した立場として、それに同意することはなかった。そのときの対立は、現在までも心の傷として残っている。CDCが起案している憲法付属法案の幾つかの論点、例えば独立機関委員の指名選出のための委員会の規定などについて、NLAは賛同していない。仮にNLAがCDCの起案した憲法付属法案に賛成せず、大幅に内容を修正した結果、今度はそれにCDCが同意しなければ、15日以内に特別委員会を設置し、修正検討し、NLAに差し戻すことになる。NLAは再度採決し、もしNLAの3分の2がその法案に賛成しなければ、その法案はその場で廃案となる。従って、NLAとCDCの法案を巡る対立は、ロードマップの延期につながる重要な条件なのである。

 第3に政治混乱が収束しないことである。未だに法律で禁じられ、政党が政治活動を実施することは出来ないままになっているが、それはオンライン上の反NCPO勢力には効果をもたない。従って、NCPOは彼らを政党のように管理するができない。NCPOによる自由への規制への反発が広がり、反対派勢力の勢いが増してきつつある。既に多くの政府関係機関がサイバー攻撃を受け、NCPOは評判を落とした。以上の3つの要因によって、NLA副議長が予想したように、ロードマップがNCPOの当初の予定から遅れ、2018年半ばにまで延期になる可能性は十分にある。