ポストトゥデイ・オンライン版は、「変化への波:2017年総選挙へ影響を及ぼす」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 ウィサヌ・クルアガーム副首相の23日の講演は、2017年の総選挙実施の変更に関する内容があり、興味深いものであった。その要点は以下のとおりであった。

 「2017年、タイは大きな変化に直面する。長い間我々が経験することのなかった御代、国王の交代である。新国王がいつ即位されるのかは、御心次第であり、準備をしておくことは出来るが、我々がその期日を定めるようなことはすべきことはでない。次に起こる変化は、憲法の公布であり、その中には今後の変化につながる様々なことが盛り込まれている。しかし、いつ公布・施行するかは問わないで欲しい。政府が憲法草案を上奏してから90日以内に判断されることである。その後は、新憲法に従って、変化がもたらされる。全ては憲法が公布・施行された時から開始される。憲法起草委員会は、憲法の公布・施行後に即時に憲法付属法案を発表できるようにするための自由な準備時間を手に入れたことになる。その後の手続きは、10本の憲法付属法の制定であるが、どのような問題が発生しようと8ヶ月以内に完了しなければならない。状況を見て予想すると、予定していた通り、2017年には総選挙を実施できるであろう。だが、政府の立場も公平に理解して欲しい。予定に影響を与える様々な変数が存在する。今のところ、まだその変数が何なのか見えないが、ある日そのような事態が発生し、2017年中に対処できるなら、2017年中に総選挙を実施し、もし対処出来ない場合は、非常時のことであるが、それに備えておこう」

 上記のウィサヌ副首相の発言の中での「影響を与える変数」への言及は、2017年に予定をしている総選挙は、最後には何らかの理由によって延期になる可能性があるとの合図を送っていることに相違ない。その「影響を与える変数」という言葉を分析すれば、10本の憲法付属法案の制定に間違いはないであろう。新憲法が公布・施行されれば、憲法起草委員会による付属法案起案のプロセスが正式にスタートすることになる。もし何も障害や妨害がなければ、付属法案の検討は期限内には終わるはずである。だが、もし付属法案の起案に関し、特に選挙関連4法案について、重要な障害が生じれば、憲法起草委員会と国家立法議会(NLA)の間での意見の相違が生じることは避けがたい。

 NLAの一部のグループは、付属法の新政党法について、有利不利が生じないようにするため、全ての既存政党を解党処分にする「セットゼロ」の実施を望んでいるが、憲法起草委員会はそれに賛同しておらず、それとは別に独立機関のセットゼロを望んでいる。憲法起草委員会が起案する付属法案については、NLAが内容を修正しないように何らかの権限を有しているわけではない。

 第267条では、NLAが憲法起草委員会が起案した憲法付属法案の意図に一致しないような修正をした場合、憲法裁判所か独立機関が法案修正のための合同委員会設置の手続きを進めることが出来る。その後の手続きは、NLAが修正した憲法付属法案に3分の2の議決、つまりNLA全250議席中の166議席を以て、反対した場合、その法案は廃案となり、期限を定めることなく、新しい法案を起案することになる。つまり、選挙に関連する4本の憲法付属法案のどれかでもそのような事態が生じれば、間接的に2017年の総選挙を目標は延期せざるを得なくなるのである。

 実際のところ、NLAが法案を3分の2の議席を以て否決するような事態は生じにくいが、以前にも、そのような発生しそうにない事態が発生したことがあったことを振り返ってみよう。それは、国家改革議会での憲法草案の採決である。国家改革議会でのその時の採決の際には、NCPOによって直接選ばれた議員達は、NCPO内の大物から、憲法草案を途中で放棄するようにとの命令が届いていたと言われる。将来、NCPOが選挙の実施をしたくなければ、選挙を延期させるために、NLAに対して付属法案を否決させるかもしれない。従って、選挙関連の付属法案の制定が遅れるかどうかは、NCPOが選挙を実施したいかどうか次第なのである。