マティチョンは、プラウィット副首相兼国防相の米ASEAN防衛大臣非公式会合の参加にかかるタイ航空機チャーター便費用問題につき、「アロハ-ハワイ:『ポーンパン夫人』の倫理問題は繰り返す」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 プラウィット副首相兼国防大臣一行が9月29日~10月2日にかけて利用したタイ航空の2000万バーツのチャーター便が話題となっている。これは、「(プリチャー前国防事務次官の)ポーンパン夫人」問題の繰り返しであり、国防省内で繰り返し生じた問題である。またソーシャルメディアを通じて繰り返し拡散し、その後新聞でも報じられた問題である。そして、「内部」の人物によって噴出してきた問題である。この事象は、「ガラス媒体メディア」の役割が、「紙媒体」よりもサッカーでいうところのフォーワードとして、優勢であることを示している。

 同時に、これはタイの古い格言である「身から出た錆」を表している。社会的にスキャンダラスなことになる政治問題は、最初は「内部」からの小さな点が大きなモノになっていく。内部から噴出しなければ、外部にまで拡散することはなかったであろう。最終的には、タイ航空チャーター便の問題は公務手続き上、違法と判断されることはないだろうが、社会的には、不適切だという感情が残ることになる。

 ハワイ州ホノルルで開催された米ASEAN防衛大臣非公式会合への参加は秘密事項ではなかった。そこでの疑問点は、なぜ新聞というメディアがこの事件を拡散させたのではなく、オンラインのソーシャルメディアを通じて騒動になったのかである。その答えは、「新聞は、用心深いこと」である。「ガラス媒体メディア」が「噂」の段階から報じたの対して、その反対に新聞は、首相秘書官長室のウェブサイトからの書類を引用し報じていた。2095万3800バーツという数字もそこから出てきたデータである。

 タイ航空のチャーター便は、広く知られた事実となり、訪問者の中には、チャイチャーン・チャーンモンコン国防事務次官(陸軍大将)、コンチープ国防省報道官(陸軍少将)が含まれていたことも知られている。それ以外にも、証拠書類の中には、どこかの会社のジャーナリストとカメラマンが含まれていることも近日中に公表されるだろう。これは、内部から広まってきた話である。

 「ポーンパン夫人」の事例と「ハワイ・ホノルル」の事例を突き合わせてみれば、これらのニュースを結びつける「ベルト」が存在することが明確である。それは、「塩が芋虫になる」(信頼していた身内の人間が腐らせる)という特徴である、国防省内部での対立、国防事務次官室内部での対立から始まり、ニュースの全てが拡散してしまったのである。ポーンパン夫人の(問題となった)異様な振る舞いの写真も周辺の人物から広められたものである。プラウィット副首相兼国防大臣がアロハシャツを着てくつろいでいる姿の写真も「報道チーム」が注意せずに本人の知らないところで撮影し、周辺の人物から広められたものである。

 広く知られるべきことが拡散されることは、基本的に良いことである。微笑んで、挨拶をしている一枚一枚の写真が流出し、賑わせている。国防省のチャーター便とプラユット首相一行のニューヨーク訪問やロシア・サンクトペテルブルグ訪問の際のチャーター便を比較すれば、これが恥ずべきことであるとの感情を掻き立てることになる。だからオンライン上で炎上しているのである。

 これらのこと全ては、国家汚職防止委員会が調査すべきことではない。なぜなら調査を終えて評決をとっても、9対0で不正ではないとの判断が待っているからである。全ては、(アピシット政権期のアヌポン陸軍司令官が関与した)GT200爆弾探知機納入に関する不正事案の調査や、ウクライナ製の戦車調達の不正疑惑調査、ラチャパック国立公園建設に関する汚職疑惑調査と同じように進んでいくだろう。ただ、これらの行為が適切なのかどうかと問われば、国民は心の中でその回答を持っている。