ポストトゥデイ・オンライン版は、「内務省による選挙運営-権力継承のための二刀流」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 国家改革推進会議(NRSA)の政治分野・国家改革推進委員会が選挙管理委員会(EC)の代わりに内務省に選挙の運営を任せるべきとの提案を行ったところ、即時に大きな反響と強い反対意見が沸き起こった。驚くべきことではない。なぜなら、この提案は、国家を過去に経験してきた問題にまで後退させるように見られるからである。以前のタイでは、中立的で、潔白で、直接的ないし間接的な干渉を受けることなく、政治的な有利、不利を生み出さないように総選挙の運営を行ってくれること期待して、「独立委員会」としてECを設置させるために闘争を続けていたのであった。

 内務大臣の職権は、県知事レベルから村長レベルまで各レベルの内務省職員の公務員を監督できるため、このメカニズムは、政治家にとっての道具になってしまう。例えば、選挙の実施前に異動をすれば、政権与党は、配下の人材や信頼できる人材を自らの地盤やライバル陣営の地盤に配置することで自らに有利な状況を作り出すことができる。お互いの利益のために合意するなり、将来の出世を見返りに成果を上げるように身を捧げるといった「回路」を通じて、選挙制度を腐敗させ続け、政権与党をライバルより有利にさせてしまうのである。そのため、過去の誤りを繰り返さないためシステムを発展させることでECが誕生したのである。

 内務省に選挙運営をさせるというホコリが被ったアイデアを今回再び持ち出してきたことは、権力継承への道を拓き、それを実現させるため、「表と裏」の「二刀流」を使おうとしているようにみえる。「第一刀」は、(国民投票の追加質問が可決したことを受け)「上院が首相選出に加わる」の意味を拡大解釈し、「上院が首相候補の指名が出来る」ようにキャンペーンを行って、「候補外首相」誕生への道を拓く計画であった。しかし、憲法起草委員会が「上院が首相選出の投票に加わる」のみであり「首相候補の指名」は出来ないとの立場を明確にしてしまったために中断されてしまった。今後は、憲法裁判所が憲法起草委員会の立場を支持するか、それとも国家立法会議(NLA)が主張するように、NCPOによって選出された250人の上院議員が首相候補指名をできるという立場を支持するのか、どちらかの判断を下すことになる。

 内務省に選挙運営をさせようとする動きは、上院に首相候補を指名させることが出来なかった時のための予備の計画である。1680万人が国民投票で憲法草案に賛成し、1510万人が追加質問に賛成するという、2007年の国民投票を上回る結果を導いたのは、部分的には各地方で仕事に取り組み、絨毯を敷き詰めてくれた内務省の功績であるとみられている。さらに内務省のメカニズムは未だ頑強であることも強調しておかねばならない。上院が首相候補指名を出来ないかも知れないという可能性があるので、内務省に総選挙の運営を行わせるという考え方が出てきたのである。最初の首相選出の際であろうと、(各政党の首相候補リストから首相選出が出来ない場合の特別選出方法が適用される)2回目の選出の際にも、25議席を有する政党があれば、プラユット首相に続投させることができるのである。2回目の選出の際には25議席も必要としていない。これは、パイブン・ニティタワン元国家改革会議議員が「国民改革党」を設立準備していることを明らかにしたが、このアイデアと一致している。クーデター体制下の各組織のシステムとメカニズムが一致して、「権力継承」を強調しているのである。

 今回の使用されなかったボーヴォンサック・ウワンノー版憲法草案では、内務省に全ての選挙運営を行わせ、ECには、(選挙違反に関する)「イエローカード」、「レッドカード」を配らせる役目を負わせるというアイデアがあり、内務省に選挙運営をさせるという提案は、その一部を引用したものである。「選挙運営」と「選挙不正調査」の権限を分割することがシステム全体を効率的にするとの説明がなされていた。各政党は、この提案に反対であったことは不思議なことではない。ゲームの先を読めば、内務省が選挙運営を行うことで、自分たちの地盤に影響を与え、さらには将来の議席数にも関わることになるからである。この問題は、憲法起草委員会がこのアイデアに賛成するかどうかにかかっている。重要なことは、国民投票を通過した新憲法第224条で「選挙を実施運営する者は、ECである」と明確に規定されていることである。