ポストトゥデイ・オンライン版は、「憲法草案否決に向けて潮流を作る:NCPOが長く居続けるために駒を打つ」と題し、NCPOによる国民投票否決に向けての動きに関する評論記事を掲載しているところ、概要以下の通り。

 8月7日の国民投票に向けての最終コーナーに差し掛かろうとしている現在、政治状況は、憲法草案への賛成派と反対派との間で徐々にエスカレートしている。投票結果がどうなろうと、NCPOの立場に直接的な影響を与えることは避けることができない。このイベントに関し、NCPOは、深刻に考えている。もし、憲法草案が否決されてしまった場合には、反対派は、NCPOに責任を取るように要求をエスカレートさせてくるからである。現在までのところ、NCPOは、状況をコントロール出来ることに自信を持っているものの、実際にその状況がやって来れば、NCPOは、政権運営を不安定にさせる程の様々な要求に直面することになる。

 憲法草案否決を目指す潮流は徐々に勢いを増してきている。先日、様々な派閥からの学者、政治運動家で構成される「心配する市民ネットワーク」にタイ貢献党、民主党、タイ国民発展党の政治家まで加わり、同グループは、NCPOに対する以下の5項目の要求事項を発表した。
(1)全ての国民が議論し、意見表明を出来るようにすること。
(2)憲法草案が否決された際の代替プランを明確にすること。
(3)もし憲法草案が否決された際には、全てのグループが起草に参加すること。
(4)もし上記の(1)~(3)が実現された場合には、全ての人々が国民投票の結果を受け入れること。
(5)憲法は、民主主義に則り、自由権を保護し、監査メカニズムがあり、権力のバランスがあり、具体性のある改革を伴うこと。
このグループは、直接的に憲法草案の否決を要求しているわけではないが、もしNCPOが上記の要求に従わない場合には、憲法草案否決に回る可能性が高いと考えられる。

 それ以外にも各機関の世論調査は、公表されているものも、非公表のものも含め、賛成と反対が良い勝負となっている結果が出ている。つまり、国民投票が否決される可能性は高まっている。

 NCPOのアドバイザーは、この状況を把握しており、憲法草案を否決させる潮流を作り出そうと努力している。つまり、憲法草案が否決されることで、プラユット首相が国家改革が終了するまでその座に留まり続けることができるようにすることである。この潮流を作り出そうとしているのは、パイサーン・プーットモンコン・プラウィット副首相兼国防大臣付政務補佐委員である。

 「私は、憲法草案に反対することを表明させていただく。憲法草案が可決されようと否決されようと、ロードマップ通りに沿って進むことになる。誰が勝利して、誰が敗北したなどと言わないように。もし、そういう言い方をするのであれば、もし憲法草案が否決された場合は、国民の勝利であると言わせてもらう。国家改革を完了させることを望む国民の勝利である。憲法草案を否決させようとする多くのグルーがいる。なぜなら、プラユット首相にこの先5年~20年、国家運営を任せたいと思っているからである。5年なのか20年なのか議論はまだ分かれているものの、それは些細なことである。もし憲法草案が否決されれば、これらのグループの勝利であることは一緒である。我々は意見が異なってもタイ人同士である。憲法草案が可決であろうと否決であろうと、国家が静かになり、国民が団結する。それで普通に商売を出来るようになれば、それで十分だ。」

 上記の中でパイサーンは、明確に述べている。憲法草案を否決することは、プラユット首相に20年、その座に止まり続けることを望むことである。否決された場合には、NCPOが思いのまま、権力を持ち続けられるように、どのような形にでも新たな憲法草案を起草することができる。もし憲法草案が可決してしまったら、政治家が再び戻ってくることになり、権力を分け合うことになり、NCPOはこれまでの権力を失うことになる。

 この「将棋」が成功すれば、NCPOの権力は即座に確実なものとなる。国民投票がどのような結果になろうと、NCPOは安心できる。つまり国民投票が可決されれば、そのままメカニズムに従って進めていけば良い。憲法草案の反対派が指摘しているように、総選挙が実施されても、憲法に規定されたメカニズムを使って、NCPOは権力を維持し続けることができる。他方、憲法草案が否決されても、NCPOに出て行って欲しいから、否決したのではなく、国民が国家改革が完了するまでNCPOに留まり続けて欲しいと望んだからであるという説明を使えば、NCPOは何も失うことがなくなる。

 「選挙の前に改革を」という目標から考えれば、NCPOは長くその座に留まり続けるだろう。現在の反対派の勢力では、NCPOに張り合えるグループはいない。従って、憲法草案が可決されようと否決されようと、NCPOは長く居続けることが出来る。今回のパイサーンの動きは、8月7日の国民投票後にどのような事態が発生しようと、NCPOは、全ての準備が出来ていること、つまり、「将棋の詰み」の手を打ってあることを示しているのである。