ポストトゥデイ・オンライン版は、「2018年8月総選挙、選挙管理員会、NCPOとの闘いを継続させる」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。
スパチャイ選挙管理委員会(EC)委員長を議長とする下院総選挙、上院選出手続の準備をする会合において、ただの枠組みに過ぎないとはいえ、現行ECメンバーが2018年8月を総選挙の実施予定枠に設定したことは、総選挙の実施を延期させようとする動きを封じ込める重要な要因となる。実際のところ、総選挙実施の枠組みの詳細を見れば、そのカレンダーは、NCPO自身が設定し、避けようがないロードマップの手続きに沿ったものである。
憲法付属法である下院選挙法と上院選出法が国家立法議会(NLA)での審議検討されるのが今年の12月に予定されており、法律として施行されるのが2018年2月となる見込みである。その後、上院議員選出プロセスが開始され、上院議員選出委員会が設置され、2018年5月~6月頃に候補者互選による200人の上院議員候補が選出され、その名簿がNCPOに送付され最終的に50人に絞られる。NCPOが選出する200人と合わせて250人の上院議員の選出が完了する。他方、下院選挙に関しては、2018年3月に下院選挙法が施行になれば、選挙実施勅令が布告されるのは2018年5月~6月頃になると予想されるので、総選挙の投票日が2018年8月になる。
しかし、総選挙の実施を担当するのは、現在のECメンバーではない。憲法付属選挙管理委員会法が現行EC委員の新法施行後の失職を定めた「セットゼロ」の内容となっているためである。同法案は、合同委員会の賛同を得て、NLAで可決され、2017年7月17日に国王上奏のために既に首相に送付されている。従って、2018年8月に選挙日程を設定したことは、セットゼロの処分を受けることになった現行ECによるNCPOへの報復であると見られている。急いで選挙日程を設定し、ロードマップから脱線し、権力を長期に維持しようとしているNCPOを妨害しようとするものである。
これまでプラユット首相兼NCPO議長は、選挙の実施延期の噂れが流れた後にも2018年中に総選挙を実施すると約束してきたのであり、その日程に一致したものである。プラユット首相がそのように発言しても総選挙延期の噂は消えることがなく、常にその話題が語られ続けている。今回のECの姿勢は、総選挙の延期を一層に困難にさせる圧力となるだけでなく、もし選挙を実施しなければNCPOへの信頼性を傷つけることになるので、NCPOと軍政「5つの河」に対し、どのようなことがあろうと選挙を実施させるように束縛することになる。
新しい選挙制度は、これまで慣れ親しんできた過去の制度から大きく変更されているだけでなく、各党の立候補者選出のための予備投票制度の導入を含め、運営は困難である。さらに小選挙区も比例代表も各党からの立候補者名に対する一票の投票で決定し、しかも各選挙区毎に各政党に割り振られる投票番号が異なるという制度は初めての試みであり、その新選挙制度を運営する新ECメンバーにとって重くのしかかる問題である。
当然ながら政権側はECに対して、選挙日程を思い通りにできるように従わせようとしている。ウィサヌ副首相は、ECは単に仮準備をしているだけに過ぎず、政府はまだ明確に選挙日程を答えることはできず、皆が理解しているようにロードマップの進捗次第であると説明した。法案の国王への上奏のような一部のことは、政府の権限、責任であるが、一部のことは(国王承認による)法律の公布に関することであり、一部のことはECに関することであるという。「現在分かっていることは、4本の選挙実施に関わる憲法付属法が施行されれば、その後5ヶ月以内に選挙を実施しなければならないということだけであり、具体的な日程に関してはECが設定するのでEC次第である。選挙関連4法がいつ成立するのかは、政府は急かしたことがないので私は知らない」とウィサヌ副首相は述べた。
上記のようなウィサヌ副首相の態度は、選挙関連4法案が設定された時間内に公布できずに選挙の実施は延期になるという噂の信憑性を高めることになる。2017年憲法の第268条は「4つの憲法付属法が施行されてから150日以内に総選挙を実施する」と規定している。二ピット・インタラソムバット民主党副党首は、「起案中の下院選挙法と上院選出法の2つの重要法案を除いて、全ての付属法はスケジュール通りに進んでいる。憲法はこれらの法律が可決されなかったらどうなるのか明記していない」と指摘し、「これは権力者にとって選挙の実施を延期させることができる抜け穴である」と述べた。2018年8月に総選挙を実施するというスケジュールは未だハッキリとしない。ロードマップの段階を今後も注視していく必要がある。