ポストトゥデイ・オンライン版は、「選挙監理委員会法案検討委員長の座がNLA対立の原因に」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。
政治の行方は、現在、国家立法議会(NLA)の決定にかかっている。重要な法律の多くがNLAでの審議の段階に差し掛かっており、NLAは活気を帯びている。「国家改革実施計画手続法案」は、各分野に関する国家改革委員を任命するという重要な内容となっている。同法案によれば、政治や行政、法律などの11分野の各国家改革委員が改革計画を策定すると定められている。このような法案審議が開始されたのである。また「国家戦略策定法案」もある。同法案は、持続的な開発が可能なように、20年以上に亘る国家戦略を策定するためのものであり、国家戦略が国王に承認され官報に掲載されれば、全ての政府機関をその国家戦略に従って、政策立案、運営するように拘束する。
現在、選挙実施に関連する憲法付属法案である「憲法付属法・選挙監理委員会(EC)法案」と「憲法付属法・政党法」がNLAに提出され、審議され第1読会を通過し、法案検討委員会での検討の段階に差し掛かっている。選挙関連法案の現在の注目点は、その内容自体ではなく、議会内でまさに現在、熱くなっている「EC法案検討委員会委員長」の座を巡る対立である。これまでNLA内部では、ジェット・シラタラノン医師がポンペットNLA議長より、2017年憲法が公布・施行される前から、EC法案の検討を任されており、当然ながら、委員長に就任するという合意が出来ていた。ジェット議員は、これまで常にEC法案について、NLA議員内の意見聴取、調整の役割を担っていたので、同医師が最も適切に同法案を運営することができると思われていた。しかし、何故か特別な方法によって、委員長がトゥアン・アンタチャイ議員に変更になってしまった。
EC法案検討委員会の委員長、副委員長、事務局長、報道官を選出するために開催された4月24日の検討委員会において、会議が開催される直前までは、ジェット医師の名前が委員長として挙がっていたのが、会議が開催された途端に、NCPOの大物の言葉を引き合いにし、委員長がトゥアン議員に変更になったのであった。このような運営はこれまでなかったことである。通常であれば、NCPOが何らかの方針がある場合には、委員長に事前に連絡調整し、それからNLA国対委員会を通じてNLA議員に普及させてきた。従って今回発生したことは、非常に異常な事態である。
今回委員長が変更となった理由を分析すれば、「上院40グループ」という要素が疑われる。ジェット医師も上院40グループのメンバーであり、トゥアン議員も以前に上院議員だった際には、上院40グループの中で一緒に活動をしていた。だが、トゥアン議員は、その後、(同グループから)一定の距離を置くようになっていた。
上院40グループに所属するNLA議員は、NLA議員の中でもNCPOと直接つながっておらず、一定の独自性がある。これまで上院40グループは、NCPOに対して、何度も反抗的な態度を示してきた。例えば、国家オンブズマンの指名において、NCPOが支持する人物に対抗したり、「石油関連法案」で市民グループを支援して、法案に反対をしたりなどの動きである。これらの諸要因によって、NCPOは、上院40グループのメンバーをさほど信用しなくなっている。
NCPOは、上院40グループのメンバーであるソムジェット・ブンタノーム陸軍大将・NLA議員を既に「政党法案検討委員会委員長」に就任させることを認めており、仮に同じ上院40グループのジェット医師まで「EC法案検討委員会委員長」に就任してしまえば、NCPOは、選挙ルールのデザインを管理することが難しくなってしまう。NCPOが将来実施される選挙の重要性を感じていれば、長期間に亘って連絡調整が容易で、信頼できる人物に重要な仕事を任せなければならないのである。