ポストトゥデイ・オンライン版は、「小政党の黄金期」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。
憲法起草委員会(CDC)が憲法付属政党法を起案するに当たっての重要な課題は、資本家や特定の人物が思いのままに独占的に意志決定でき、支配されてしまっている政党の仕組みを真に国民のものにさせることである。ミーチャイCDC委員長は、国民が政党に参加しやすいように政党の設立要件をより容易にすると説明した。それは、党設立に当たって、500人の仲間を集めて、各自が政党活動資金を供与し、各自が政党のオーナーであるようにするというものである。
政党設立要件がどのように緩和されるのか注目してみよう。設立当初の党員数は、2007年政党法の第26条では、政党設立の登録を行ってから、1年以内に5000人以上の会員を集めなければならなかった。この数字は、各地方からの党員で構成されなければならなかった。政党登録人が定めた通りの県に支部を開設し、また各地方毎に最低1つの支部を設立する必要があった。新憲法付属政党法では、政党設立手続き開始時点での党員は15人以上で、その後500人を集めれば済むように規定しようとしている。つまり500人の党員を揃えた時点で、選挙管理委員会(EC)に即時に政党として登録出来ることになる。政党設立を容易にさせることは、国民を政党のオーナーとして参加させることだけではなく、政治家が党を離脱して、新党を立ち上げることを容易にさせることにもなる。これは全ての既存政党を解党処分・再登録を義務づける「セットゼロ」に代わる(既存政党を牽制する)方法にもなり得る。
これまでは、長年に亘って積み重なった対立が解消されることを期待して、政治グループの解散を推進しようとする動きがあったが、CDCは、混乱を生じさせることがないように、政党解党の「セットゼロ」を実施する考えがないことが明確になった。これまで様々な問題を抱えている大政党制を振り返ってみると、その問題の一つとは、同じ地盤内での複数の候補者が特定の政党から出馬する場合に党公認の候補者の決定に当たって、その希望が叶った人物と叶わずに失望を味わった人物が生じることにある。出馬できなかった人物は、大政党制の下では、次回の選挙を待つ以外に何も出来ることはない。
新しいルールによって政党設立が容易になり且つ新しい選挙制度が導入されれば、選挙区に強い地盤を有する下院立候補者は、大政党に所属して政党からの集票活動の支援を受けることがなくても、議席を狙うことができることになる。現在の状況下では、大政党への人気も低下傾向にあり、以前の地滑り的勝利を収めたような支持を集めているわけではない。NCPOが全てをロードマップに沿って進めていくこと確認してから、多くの政治家が動き始めており、次回の選挙に向けて、新政党を設立する準備をしている徴候が見えてきた。
多くの政治家が新政党を設立したいと考える背景には、総選挙後に中小政党が政治を決定する重要な変数となり、その交渉力が増大すると予想されていることがある。首相の選出に当たっても、移行期においては、(NCPOによって任命される)上院が加わることになっており、大政党が選挙後に第1党になったとしても自らの政党だけで首相を選出することができないことになっている。最後には、大政党が友好的な中小政党を招いて連立政権を組まなければならず、中小政党が政治の行方を決定する変数となるのである。また引き続き、国会での法律を制定するためや解散をするため、また「コブラ」(政党に所属しながら他党を支持する裏切り者)を生み出さないためには、大政党は中小政党の歓心を買う必要がある。そのため政治の将来は、小政党にとっての黄金期が待っているのである。