ポストトゥデイ・オンライン版は、「プリチャーを急襲する台風、プラユットを揺さぶる」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。
数多くの「台風」がプリチャー・チャンオーチャー国防事務次官に現在襲いかかっている。これは、実兄であるプラユット首相兼・NCPO議長にも影響を与えている。
最初の問題は、チェンマイ県の「ポンパン開発堰」である。プリチャー次官の妻であるポンパン・チャンオーチャーの名前を堰の名前につけたことが妥当かどうかとの疑問を呈されている。その後、「ポンパン開発堰」は、地元住民達が、常に住民達を支援し、訪問してくれる同夫人への親しみと敬意を示すために名前をつけたものであると説明されたが、批判は続いている。SNS上では、国防事務次官夫人で同組織婦人会の会長であるからといって、自らの発案による事業に自らの名前を冠して、国民から集めた税金を使用しても良いのかという批判が盛り上がっている。この行為は、国家予算を自らの人気取りのために支出することであり、政治家達が以前に行っていた行為と同じであるため、誤解を与えることになるからである。
シースワン・ジャンヤー憲法擁護協会事務局長は、この件について、ポンパン夫人とプリチャー次官が1999年汚職防止法に違反していないかどうか調査するように国家汚職防止委員会(NACC)に申し立てを行った。国防事務次官という国家機関の指揮命令権限者による職務不作為ないし、恣意的な職務遂行があったかどうかを明確にさせることが重要である。当然ながら、もしこの問題が他の人物よるものであれば、ここまで騒がれることにはならなかったであろうが、首相の実弟の夫人という立場である上は、国民から注目
され、一般人以上に厳しい倫理基準が期待されることは当たり前である。ましてや、NCPOは国家改革を推進するために自発的に国家運営に乗り出しているのであるから、自らが改革しようとしている者達と同じ道を辿ることがないように、自らを律することから始めなければならない。
上記の問題に続いて、今度は、プリチャー次官の息子が株主となっているコンテンポラリー・コンストラクション社の問題も持ち上がってきた。同社は、第3方面軍から2つの建設事業、合計26900万バーツを請け負っている。請負事業の1つは、2015年3月23日契約の第3方面軍隷下、ペチャブン県所在ポークン・パームアン基地内の多目的棟建設であり、もう1つは、2016年4月25日契約のターク県所在ワチラプラカーン基地内病院勤務家族向け集合住宅の建設である。この問題は、利益相反に当たる可能性があり、上記の「堰」の問題よりも深刻である。プリチャー次官は、以前に第3方面軍司令官を務めていたため、当時の部下達が現在も勤務している。同社が第3方面軍での調達の際に採用されたことが、どの程度適切であったのか、ライバル企業に対しても公正な評価がされていたのかという疑念が生じることは不思議なことではない。
プリチャー次官は、自身は全く関与しておらず、(息子の)支援のために権力を行使したことはなく、息子に関することは、一切合法である。入札価格については、競争相手の会社と比べて、息子の会社が提示した価格が満足のいく金額であったため、第3方面軍が請け負わせたのであると説明している。これはデリケートな問題である。なぜなら、NCPOは、清廉潔白な運営が行われるように規則を改める努力をしているからである。特に利益相反の問題をなくそうとしている。それにもかかわらず、NCPO議長の身近な人物が問題に関わってるとなれば、より深刻な影響を与えることになる。
このような問題が生じたのは、今回が初めてではない。以前にもプリチャー次官がプラウィット国防大臣の権限を代行し、自身の息子を陸軍少尉の階級として軍に採用したことが話題となった。その際には、多くの軍人が同じようなことをやっていると説明していた。これらの行為については、「自身がプラユット首相の実弟であるから問題となって批判されているに過ぎないのだ」と反駁するのではなく、社会に対して、真相を明確な説明をしなければならないことである。そうでなければ、現在プリチャー次官に向かっている批判の圧力が、最後にはプラユットに向かって行くことになり、NCPOの安定性に影響を与える。終わりに差し掛かっているロードマップを揺るがすことになる。