マティチョンは、ソムマイ・パリチャット・マティチョン社副社長による国民投票と憲法草案で規定されている20年の国家戦略に関する評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。
ミーチャイ憲法起草委員会委員長は、憲法草案及び追加質問の賛否を問う国民投票に関して以下のようにインタビューに答えた。もし憲法草案が可決されるが追加質問が否決された場合には、元々の憲法草案の通りになる。もし憲法草案も追加質問も可決された場合には、憲法起草委員会が憲法草案の最後の部分を追加質問の内容と一致するように修正する。もし憲法草案が否決され、追加質問が可決された場合には、今回の否決された憲法草案には何も影響を与えないが、国民が追加質問のように望んでいるということを反映し、次回の憲法草案に反映させることになる。
追加質問は正式には以下のようになっている。「国家戦略に基づいて、持続的に国家改革を進めていくため、国会が最初に開会してから5年間の期間に限り、上下院合同で首相を選出することに、あなたは賛成しますか、反対しますか?」である。つまり、下院議員500人と上院議員250人が一緒に首相を選出するかどうか、ということである。
国家戦略に基づいて持続して国家改革を進めることが理由として説明されている。それでは、国家戦略はどこからやってくるのか?新しい首相が関与するのか?普通の国民が一緒に検討し、賛成、反対といった決断をするのだろうか?その答えは、まだ分からないままとなっている。
プラユット政権は、ウィラート・アルンシー陸軍大将・首相秘書官長を委員長とする「20年の国家戦略策定委員会」の設置を6月30日に閣議決定する。同委員会は2つの小委員会を設置する。1つは、チューサック・メークスワン陸軍大将・国家改革推進会議(NRSA)議員を委員長とする「2017年~2036年国家戦略・改革起草小委員会」である。もう一つは、アンポン・キティアンポン内閣事務局長を委員長とする「国家改革計画実行小委員会」である。同委員会は、NCPOが示した11分野と国家改革会議(NRC)が提起した37事業に関する国家戦略を起草する。一方でNRSAは、国家立法会議(NLA)に国家戦略法案を制定させるため、同法案を政府を通じて提出した。これは、憲法草案の規定では、120日以内に国家戦略を策定しなければいけないことになっていることを反映したものである。
同法案は、国家戦略策定のメカニズムを規定する。それは、政治指導者3人(首相、上院議長、下院議長)の他、様々な分野の専門家など合計25人で構成される「国家戦略委員会」と政府代表、民間代表、市民代表、学者代表、専門家など合計29以下で構成される「国家戦略運営委員会」を設置するというものである。国家戦略法案の通りに2つのレベルでの委員会が設置されるなら、「20年の国家戦略作成委員会」が策定した20年の国家戦略について、「国家戦略委員会」からの承認を得なければならなくなる。「国家戦略委員会」は、総選挙後に選出された首相、上院議長、下院議長など25人で構成されていることになる。問題は、この25人がNCPOの「5つの河」によって規定された20年の国家戦略に関し、賛否を問うこと、修正することが出来るのか、そのためには、どのような方法、メカニズムがありえるのかということである。国家戦略と国家改革を実現するためには、(20年の国家戦略を妨害されないために)枠に嵌め込んでおきたいのである。だから上院が首相を選出できるという追加質問が出てきたのである。
これまでのことを考えてみると、普通の市場にいるような人々が、国家戦略の策定にどれくらい関与が出来て、国家戦略の賛否の決断が出来るのか、それが何時になるのかも結局はっきりしないままである。今後20年の国家戦略、国家改革も憲法草案の国民投票を決断するのに重要な要素である。