マティチョンは、「タイ貢献党とNCPO党の直面の衝撃」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 タイ貢献党を「処分」できない限り、NCPOによる権力継承は成功しないか、スムーズには進まない(注:処分の具体的内容は記されていないものの、解党処分も含む意味と考えられる)。「処分」という言葉は、NCPOによる2014年クーデター時点からの設計図ないし主要戦略に盛り込まれていたものである。それは、タイ貢献党への数々の追及からも窺うことができる。インラック・シナワットへの弾劾と資産没収に続き、スラポン・スープヴォーンリー医師(元財務大臣が有罪で実刑判決で収監されたこと)やスカンポン・スワンナタット空軍大将(元国防大臣が不正行為で弾劾を受けたこと)など次から次へとタイ貢献党の追い詰めていった。それから憲法や国家戦略を基にしてルールを策定し、それを支持を獲得するための道具として利用してきた。全ては、タイ貢献党を「処分」するためにである。

 2019年2月の総選挙へロードマップが進むにつれ、タイ貢献党を処分しようという試みはより激しさを増していく。或る元タイ愛国党下院議員(注:ソムサック・テープスティン元副首相を示唆していると思われる)による提案は、どうやって「分裂」(テーク)させるかということである。タイ貢献党から「吸引」出来ないのであれば、勝利はより困難である。現在までに吸引が出来たのは、民主党の一部であり、タイ国民発展党の一部であり、タイ名誉党の一部であり、タイ貢献党の人物には及んでない。(注:ソムサック・テープスティン元副首相の地盤を意味する)スコータイ県から報じられた60人の(移籍予定とされる)名簿をみても、それは2011年7月の総選挙でタイ貢献党の議席を保有していた人物ではなく、(タイ貢献党の前身である)タイ愛国党、国民の力党の解党時点での元下院議員であった。

 官民協力(パラン・プラチャーラット)党やタイ国民結集(ルワム・パラン・プラチャーチャートタイ)党の結成の最終目標は何であろうか。それは、絶対にタイ貢献党に勝利させないようにすることである。2017年憲法に盛り込まれたルールを見れば、それは実態は「選挙」を意識した結果であることが分かる。どうすればタイ貢献党を100議席以下に引きずり下ろすことが出来るだろうかということを意図していたのである。しかしながら、現在の政界で広まって信じられている「噂」に拠れば、タイ貢献党は少なくとも下院200議席を確保することができるという。タイ貢献党の主要な勢力は、選挙区制の議員である。NCPO側の政党である官民協力党やタイ国民結集党の責務は、タイ貢献党の議席を減らすことなのである。

 今後、NCPOは、タイ貢献党に伴う政治的に不確実な基盤の上に乗りながら、ロードマップを進めることになる。実際のところ、タイ貢献党は、温和しくNCPOに狩られることを待つような獲物ではく、むしろ、その反対で、時々に激しく反撃する性質である。タイ貢献党の激しい反撃こそが恐ろしいことである。