ポストトゥデイ・オンライン版は、政党活動禁止に関する評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 コメ担保融資制度に関する裁判でインラック前首相に判決が下される予定となっている8月25日が近づくにつれて、タイ政治状況は緊張の度合いが高まってきている。インラック前首相の今回の裁判と以前のタクシン元首相のラチャダピセーク通り違法土地取引裁判の時の状況を比較した場合、両者には重要な相違点があることが分かる。10年前にタクシン元首相の運命を決める判決が下された際には、被告自身が最高裁政治職刑事訴訟部の判決を聞きに出廷せず、いわば「逃亡」していたので、それほど緊迫した雰囲気ではなかった。裁判所は、被告のタクシン元首相へ直接に判決を申し渡す必要はなかったのである。その判決は、禁固刑であり、その日以降現在に至るまでタクシン元首相はタイに帰国することができないままになっている。

 今回のインラック裁判との相違点は、「どこにも逃亡しない」で、被告自身が裁判所で判決を聞きに行くということである。インラック前首相が25日に裁判所と対面することになった理由の一つとしては、NCPOによって前首相の海外渡航が禁止されていることがある。インラック前首相が今回の裁判に賭けたものは、「自由」である。最高裁判所が数日であろうと、数ヶ月であろうと、数年であろうと禁固刑の実刑判決を下せば、囚人服を着せられ、囚人として刑務所に収監された首相経験者として、タイ政治史の記録に留められることになる。そのような「高価なモノ」を賭けたことにより、タイ貢献党及びインラック支持者は、自らの愛するボスを励ますために熱心に活動しているのである。

 NCPOも今回のゲームを良く把握している。勢いを封じ込めるため、政治活動をさせないままにしている。インラック応援隊へのNCPOの懸念は、全ての政党にまで影響を及ぼしている。総選挙の実施に関わる憲法付属選挙管理委員会法、政党法が国家立法議会(NLA)で可決したにもかかわらず、NCPOは一切の政治活動を禁止したままである。「治安維持を担当し、状況に関する情報を毎週まとめているプラウィット副首相兼国防相の意見を聴取し、状況を分析したが、王室行事が未だ終了していないままで混乱を生じさせるわけにはいかない」というのが最近のプラユット首相兼NCPO議長の見解であった。政党活動は未だ絶対に認めないということを再度強調するものであった。

 この問題に関するNCPOの態度を見ていると、いくつかの重要なことを隠そうとしていることは間違いない。今回のタイ貢献党の支持者は、NCPOと闘うために活動しているのではないので、NCPOが支持者に厳しく対処しなければならない理由は何もないのである。しかし、何故NCPOが棒切れを持って支持者を追い払おうとしているのか、その理由の一つとして考えられることは、タイ貢献党への信頼を貶めるため、赤シャツグループが新たな対立状況を作り出そうとしているとのイメージを社会に植え付けようとしていることである。

 NCPOは、どれだけの請願や圧力を受けようとも、未だ政党の政治活動禁止処分を解除しようとしない。現在の政党は、力を失った政治アクターに過ぎなくなっていることは明白である。意見表明する舞台を欠き、政党の政策を推進することも出来ず、公共的なテーマについてメディアへのインタビューを受けることしかできない。それでは政治への影響力を与えることはほとんど出来ない。現在のこのような状況の政党には、NCPOに対抗する力はないのである。それにもかかわらずNCPOが政党に活動を禁止しているのは、NCPO自身が正統性を強化しようと励んでいるこの期間に政党に役割を与えたくないからである。

 NCPOと内閣による行政運営は、効率性という観点から大きな疑問を持たれている。特に経済問題の解決について、現在の状況は政権の成果がどのようなものであるのかを示す明確な回答となっている。NCPOの職務遂行の失敗は、国民を政治家への信頼に向かわせることになる。なぜなら国民の大勢は、少なくとも政治家は軍人よりも国民の声に耳を傾けると思っているからである。NCPOも良く自覚しており、もし政党に活動を許可すれば、NCPOは政党に対して恥をかくことになる。政党が会議、集会を実施することが可能になるということは、政党は総選挙に向けて次から次と政策を発表していくことになる。政党が政策を発表すれば、それは現政権の政策と比較されることになる。これら全部の理由によって、NCPOは、政党活動を認めないのである。「虎を森から出してしまえば、その虎が自分に噛みついてくる」からである。