ポストトゥデイ・オンライン版は、国家改革委員会に関する評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 2014年にNCPOがインラック政権を崩壊させるクーデターを起こしてから、国家改革はNCPOが実行し、成功させなくてはならない国家的課題であると常に主張されてきた。NCPOが国家改革を強調し、重視している理由は、クーデターの実行前に社会が要求していた課題だからであり、そしてNCPO自身も成果を出して、無駄なクーデターであったと思われたくないからである。前回の2006年クーデターは、完全に失敗であったと批判されており、NCPOは先輩軍人と同じ轍を踏まないように真剣に考えている。

 2014年から2017年までの3年間でNCPOは、3回の大きな国家改革に着手した。即ちそれは、①国家改革会議(NRC)250人の任命、②国家改革推進会議(NRSA)200人の任命、③国家改革委員会120人の任命である。国家改革委員会の任命は先日発表があったばかりである。NCPOが使用しているスタイルは、2006年クーデター団が実行したスタイルとは完全に異なっている。前回クーデターの国家安全保障評議会は、国家改革のための特定の議会を開設することはせず、憲法草案の中に国家改革案を詰め込んで改革を実行しようとした。つまり憲法起草議会と憲法起草委員会が改革推進の役割を担う組織であった。

 2006年の改革スタイルには、その方法が正しい道筋なのかどうか常に疑問が呈されてきた。重要なルールを全て憲法に盛り込み、憲法に規定された通りにルールを制定することまでを定めたため、数多くの憲法付属法を制定しなければならなくなった。それは付属法が制定されなければ、憲法の国民の権利と自由は保障されていないに等しいのであった。過去に起こった問題の教訓を得て、NCPOは「議会」というスタイルを採用し、NRC、NRSA、そして今回の11分野の国家改革委員会を設置したのである。NRCから11分野の国家改革委員会までのNCPOの国家改革の設計図の中身を覗いてみれば、それらに相違点は皆無であることが分かる。「性格の異なる双子」と言うこともできよう。

 NRCとNRSAには、同じような職務権限が憲法に明確に規定されていた。それは、国家改革のための研究、分析、方向性の提示、助言と国家立法議会(NLA)、内閣、NCPO、関係機関への提言である。内閣の承認を経ることなく、NLAへ直接的に法案を提出する権限も有していた。NRCとNRSAの違いは、憲法草案への投票権を有するかどうかだけに過ぎなかった。NRCは、憲法草案へ賛成するか反対するか選ぶ権限があったが、これに対してNRSAはその権限を有していなかった。

 「2017年国家改革計画手続法」で規定されている国家改革委員会の職務権限は、同じようにNRCとNRSAと同じ所もあれば異なるところもある。共通点は、国家戦略委員会に意見提案し、国会、内閣、関係機関に国家改革計画の実行について提案を出来ることである。他方で相違点は、言葉遣いがNRCとNRSAと異なる以外には、ほとんど違いは見当たらないのである。とはいえ、それでも一部の条項には相違点もある。それは、国家改革委員会は国家改革実行の進捗調査及び評価の権限を有していることである。従って、国家改革委員会は、政府機関に対して国家改革計画に沿って改革が実施されているかどうか質問する義務を有する。もし政府機関が無視していれば、国家改革委員会は、その問題を国家戦略委員会に通知し、その機関の責任者を処分させることができる。

 NRC、NRSA、国家改革委員会を比較検討すれば、共通点と相違点があった。国家改革委員会は進捗調査、評価の権限を有するので多少の相違点があるとも言えるが、このようなスタイルで国家改革委員会をデザインしたことは国家改革にとって正しかったのかどうかという疑問がある。政府が国家改革計画と一致した国家改革の実行の進捗調査や評価をしたいのであれば、政府自らが行政管理者として公務員に賞罰を科すこともできるので、新たな組織を設置する必要もなく、国家改革委員会を設置する必要もないのである。さらに、間もなく国家戦略委員会が設置される。同委員会は同様の職務権限を有し、且つ行政運営者も参画しており、国家改革の監督者の役割を担うには同委員会で十分であろう。結局のところ、国家改革委員会は、「議会」が「委員会」に変更になっただけであり、NRCやNRSAと違いはないのである。