マティチョンは、「2つの方向への闘い、総選挙実施対総選挙延期、2つのルートへの交差点」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 NCPO内部で、政治グループ内部で、「協力する」及び「闘う」の双方の選択に関わる2つの環境的理由があり、それが徐々に明らかになってきている。

 まず、協力し合わなければならない理由である。NCPOは、もし政治グループと協力し合わなければ、権力継承が出来る機会を得られることがないと見ている。他方、政治グループは、NCPOと協力し合わなければ、権力に介入する機会を得ることができないと見ている。

 次に総選挙の実施に関して意見が異なる理由である。選挙の実施を望まない意見と選挙の実施を望む意見が存在していることは明確である。選挙の実施を望まない理由は、選挙の実施によって不透明な状況に導くことになると評価しているからである。他方で、選挙の実施を望む理由は、総選挙を実施するという手続きによって、権力継承の正統性を得ることができると評価しているからである。従って、総選挙の実施は、鋭く重要な問題なのである。

 民主党の内部勢力をみれば、同様にタイ名誉党の内部勢力をみれば、彼らはNCPOと同盟を組めるグループであると考えられる。基本的にこの2つの政党は、総選挙の実施を望んでいる。彼らは、NCPOが250人の上院議員を任命する権限を持っていることを重視しており、その上院と民主党、タイ名誉党の下院議員と一緒になれば、影響力が増すことになると考えている。特に民主党が100議席以上を確保でき、NCPOがタイ貢献党の内部を掻き乱し、党の分裂を導き、タイ貢献党の弱体化に成功すれば、より一層の効果がある。もし民主党とタイ名誉党が下院議員をより増加させ、150議席を越えることができるならば、NCPO主導で強固な政権を生み出すことが出来るだけでなく、政権内部で自らの政党の交渉力を高めることも出来るようになる。従って、彼らは、総選挙によるパワーに依拠して政治権力が得られることを期待しており、総選挙の実施を望んでいるのである。

 他方で、政治グループ内部の一部の勢力は、総選挙でタイ貢献党とその同盟勢力に勝利することに十分な自信を持っていない。民主党内の一部はそのように評価している。NCPOと民主党の同盟者であるPDRCの一部勢力は、総選挙でタイ貢献党に勝利することは困難であると信じており、総選挙の実施を望んでいないのである。もし総選挙の結果、タイ貢献党が下院で最大議席を獲得すれば、タイ貢献党に正統性をより与えてしまことになり、中小政党の決断を困難にさせてしまうことになると考えているからである。選挙結果によるタイ貢献党とその同盟勢力による権力の強化は、NCPO政権を確実に激震させることになる。従って、彼らの計画は、NCPOにロードマップをいつまでも延期させ続け、その間にソムキット副首相率いる経済チームが徐々に(経済)問題を解決していくことに期待しているのである。もし経済的な成果が出せるのであれば、長期に政権に居座ることを保証しているに等しいことである。

 「選挙の実施を望む」と「選挙を実施を望まない」という考え方は、鋭く重要な問題なのである。現在、NCPOの傾向としては、「選挙の実施を望まない」方向を向いている。ただし、ソムキット副首相の経済チームが今後どの程度の成果を出せるのかまだ十分明白でない。従って、将来は、ソムキットの手腕にかかっているのである。