マティチョンは、「経済閣僚改造の噂が放たれ、弱点に浸透する」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 2014年のクーデターから3周年を迎える1週間前に差し掛かって、内閣改造が実施されるとの噂が流されている。経済閣僚の入れ替えを強調した噂が風に乗って流れているが、政府はあまりその噂に関心を持っていないようである。改造のターゲットと噂されている閣僚でさえも特に気にすることなく普通に振る舞っている。この噂は、「内部」から流されたものであるとみられている。NCPO政権は、(そのような噂は、)政府とNCPOに悪意を抱くグループによる信用の失墜を意図したものであると何度も主張している。もし、それが真実であるなら、流出した噂は、計画的でシステム的なものであると見られる。重要なことは、内部の「弱点」を突いていることである。

 特に2017年に差し掛かってからより深刻になっていて、これまでも継続的に見られる弱点とは何かと問われれば、それは明確に「経済」であると答えることができる。「悪いニュース」が「良いニュース」の数を上回っており、政府は、現在の経済状況を大いに懸念している。世論調査の「スワンドゥシットポール」であろうと、「クルンテープポール」であろうと、経済問題が一番の心配の種となっていることを示している。もし経済問題の解決が出来なければ、NCPOと政権への支持率は、急落することになる。

 2014年5月のクーデターから、3周年を迎え、4年目に突入しようとしていることが、よりクーデター政権のイメージをプラスよりは、マイナスに向かわせている。重要なことは、実際に経済運営を失敗しているということである。

 どのような要因が経済閣僚改造の可能性を強めているのだろうか。そして、どのような要因が農業協同組合大臣のポストの改造が名指しされる理由となっているのであろうか。それは、(プラユット首相との)「直通」である。商務大臣のポストであろうと、農業協同組合大臣のポストであろうと、チャチャイ・サリガラヤ陸軍大将は、「直通」の人物であり、経済担当副首相であっても、蹴り出すことは出来ないのである。MRプリディヤトーン・テーワクンが経済担当副首相であった時期であろうと、ソムキット・チャトゥシーピタックに交代してからも、少なくとも2つの大きく、重要な省は、経済担当副首相でさえ、「お願い」をするだけであり、内部に干渉することは出来ないのである。

 その省とは、農業協同組合省と運輸省である。プリディヤトーン副首相の時期には、農業協同組合省は、(経済担当副首相の)監督下となっていた。しかし、ソムキット副首相の時期になってからは、同省は、「直通」に変わってしまったのである。これが2014年クーデター時点から継続している運営の問題である。

 最終的に流出した噂は、不発弾になるかもしれないし、本当に内閣改造を導く結果になるかもしれないが、いずれにせよ政府は、最後のルートに差し掛かろうとしている。仮に内閣改造があったとしても、最後の一回であろう。選挙ムードが近づくほどに政治はより「濃厚」になっていく。「濃厚」というのは、NCPOと政府は、政治の「標的」にされることになるという意味である。