ポストトゥデイ・オンライン版は、「最高僧正の任命は、プラユットの心を計る新しい時限爆弾」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下の通り。

 「焼きタロ芋」が再びプラユット首相兼NCPO議長の手の掌に戻ってきた。首相は(その職務により)サンガ最高評議会の決定に従って、最も年次の高い高僧の名前を第20代の最高僧正(プラプッタサンカラート)に任命すべく、国王に奏上しなければならない。プラユット首相がこの時限爆弾をどうするのか注目が集まっている。

 先日、国家仏教保護センター事務局長のメティータンマジャーン師(ジャオクン・プラサーン)が7日以内に政府に対して、サンガ最高評議会の決定に従って、手続きを進めるように要請し、そうでなければ今後、全国で運動を起こすと述べた。手続きを進めるか、進めないかの決断をすることは簡単なことではない。なぜなら、どちらを選択しても、やっとロードマップのゴール目前となったNCPO政権の安定性を損なわせることになるからである。

 高僧側は、プラユット首相に今年1月のサンガ最高評議会の全会一致の決定に従って、ソムデット・プラマハーラチャマンカラチャーン(チュワン・ワラブンヨー)パークナム・パーシーチャルン寺院住職・最高僧正代行の名前を奏上するように要求している。一方で、パイブン・ニティタワン元国家改革会議議員及びプッタイサラ師(スウィット・ティラタムモー)・オーンノーイ寺院住職は、ソムデット・プラマハーラチャマンカラチャーン最高僧正代行が、未だ不正の疑惑がかかっている身であるとして、最高僧正就任に反対する国民30万人の署名を集め、任命の前に不正調査を実施することを要求している。双方のグループを評価すれば、双方共に背後に大勢の人々が控えている。なので、どちらかを一方を選択すれば、その選択を気に入る人々と気に入らない人々を生み出してしまう。彼らは、騒ぎを起こす準備をしているという合図を送ってきている。

 これまでプラユット首相は、早急にどちらかの手続きを進めようとしなかった。なぜなら、問題が波及し、混乱し、暴力的な事態にまで至って、憲法起草や国家改革、行政運営といった政府の職務へ影響が及ぶことを恐れたからである。最高僧正の任命手続きは、首相の権限で進められるのか、それともサンガ最高評議会の決定を元にして進められるのか、という問題を法制委員会に送致して、1994年サンガ法第7条の解釈を命じたことは、プラユット首相にとって、呼吸を整えるだけの、ちょっとした時間稼ぎであったようにみえる。少なくとも、今後どのような手続きをするのか決断する前に社会の声を確認することはできた。最後に法制委員会が上奏手続きが第7条に従って進めなければならないと判断を下せば、避けようもなく、通常通りに手続きを進めるまでである。

 先日、プラユット首相は、「誰かの権限は誰かの権限である。私はどんな職務があるのか。上奏する職務があるのか。それじゃ、問題がある中で私は上奏することが出来るのかどうか。もし出来ないのであれば、問題は終了である」と述べている。「Kho.Mo.99」ナンバーのメルセデスベンツ(当館注:ソムデット・プラマハーラチャマンカラチャーン住職の高級クラッシクカー)を所有している事件は、プラユット首相がもう少し時間稼ぎをするのに十分な重要性のある理由となる。まだ事件の真相が明確になっていないままで、即時に上奏することは、妥当な選択ではないからである。この事件は、それほど大きな事件ではないが、将来に問題を生じさせないためには、明確にさせておくべきことである。既に法務省特別捜査局(DSI)が、この事件の捜査を80%まで進捗させており、残りの証拠書類を海外から到着するのを待っている段階である。海外の会社から届けられる証拠書類は手続きを進めるに当たって重要である。パイシット・ウォンムアン警察大佐・DSI局長は、「実際のところ、DSIは一部の証拠を入手しているが、全部を揃えて置きたいので、ある程度の手続きの時間を要する」と述べた。

 プラユット首相は、「事件が終わるのを待たねばいけないのか?」との質問に対して、「考えつかない。手続きが終わるのを待っていたら、ケンカか何かが起こってしまいそうで怖い。国家の良いところばかり見ないように。何でも有りだから」と答えた。ケンカが起こってしまうことをプラユット首相は取り上げたことから、このままの状況をしばらく続けるという選択をしたということであろう。ただ、7日間の締切り期限に至れば、メティータンマジャーン師は、サンガ最高評議会の決定に従って任命手続きを進めることを要求してくる。政府に対し、仏教団体がデモを実施し、それが激しい対立を生み出す前に対処することを望んでいる。メティータンマジャーン師グループは、当局から追及を受けているタンマガーイ寺院グループとの関係を有し、支持者を糾合し、影響力を強めている。プラユット首相は、この時限爆弾をロードマップに影響を与えないように最後にどのように処理をするのか見物である。