ポスト・トゥデイ(オンライン版)は、NCPOによる赤シャツへの対応に関する評論記事を掲載しているところ概要以下のとおり。

 長らく静かになっていた政治状況は、再び激しいモンスーンにより崩れようとしている。NCPOが反対勢力をコントロールしようとして、19日にUDD(赤シャツ)が設置しようとした国民投票不正監視センターを閉鎖するという「劇薬」を使用したからである。

 これまでNCPOがUDDのセンターを閉鎖すれば、全ての騒ぎが終わると予想されていた。しかし実際には、そのようにならず、NCPOは、更に19人のUDD幹部達がセンターの開設に関して記者会見を開いたことが、NCPO2014年7号声明違反に当たる5人以上の集会を実施したと判断し、処罰を求め、犯罪鎮圧局に対して法手続を行った。捜査当局は、UDD幹部に対し、6月30日に出頭するように命令を発出した。

 同センター設置への対応に鑑みると、NCPOによる反対勢力への法律の執行は、元通りになったといえるかもしれない。違反者には1年を超えない禁固、2万バーツを超えない科料もしくはその両方という罰則規定があることを考えれば、これには、それなりに重要な意味がある。

 忘れてはならないのは、UDDがセンターを設置することを発表した頃、プラユット首相は5日のインタビューでは、NCPOは特にセンターの設置に反対しないととれるサインを送っていたことである。

 プラユット首相の見解とプラウィット副首相兼国防大臣の見解は一致してなかった。プラウィット副首相兼国防相は、13日にはセンターの設置は認めないと主張していた。その後、プラユット首相は、18日にメディアへのインタビューでUDDのセンター設置は認めないと述べ、19日には警察当局がセンター開設場所を占拠した。

 再び劇薬を使用するようになった首相の見解の変化は、憲法草案の反対勢力を絶対に制御したいという願望を反映したものである。これまでNCPOは、「思想矯正」の場所を軍事施設から民間施設に変更したり、刑事事件を抱えていない政治家の海外渡航を容認するようになったり、8月7日の国民投票に向けての政治的な緊張を和らげようとしてきた。

 しかし、それでもタイ貢献党、UDDがオンラインメディアを使って憲法草案への反対を表明し続けていることで、NCPOが思っている程には政治状況は良くならなかった。これは、大衆を使って、憲法否決キャンペーンをすることに変わりはない。そのため、NCPOは事態を放置することはできず、法律を使って、タイ貢献党とUDDのキャンペーンを止める必要があった。

 今後の注目は、NCPOが裁判所にUDD幹部達の保釈を取り消すように要求するかどうかである。UDD幹部は、NCPOがその通りにする可能性があると分析している。

 劇薬は、UDDだけでなく、政治活動を行ったとの理由で、タイ貢献党にも解党処分という形で使用されるかもしれない。ただ、それは今すぐという時期ではないだろう。