ポストトゥデイ・オンライン版は、「タイ貢献党の解党処分は簡単ではない」と題する評論記事を掲載しているところ概要以下の通り。

 タイ貢献党幹部達が一斉にフェイスブック上で憲法草案の否決を訴えるメッセージを投稿したことに対して、ソムチャイ・シースティヤコン選挙管理委員会(EC)委員が、この行為によってタイ貢献党の解党処分の可能性もあり得ると発言したことで、一挙に政治上の大きな論点となった。「ソ」委員は、「もし、タイ貢献党役員の指揮の下、党の主導によって運動を行っていたことが、調査で証明されれば、仮に国民投票法違反に該当しないとしても、政党に政治活動禁止を命じているNCPO命令違反には該当し、EC委員長は、政党登録人の立場として、政党への処分を求める手続きを実施し、その最高刑は、解党である」と発言した。

 ECが法規の適用を示唆して、タイ貢献党に反発したのは、これが初めてのことである。「ソ」委員の発言は、単なる脅しであろうと本気であろうと、政党が解党処分になるのかどうなのかという疑問が出てきた。現在の特別な状況下では、プラユット首相兼NCPO議長が暫定憲法第44条の強権を握っており、政党解党処分はそれほど困難なことではない。これはウィサヌ副首相の先週の見解とも一致する。「ウィ」副首相は、「NCPOにその権限があるかどうかという質問に答えるならば、第44条に基づくNCPO命令は、何でも出来ることになっている。もし出来ないと答えるなら、それは嘘になる。ただ、それには命令を出さねばならず、その理由も必要である。考えたことをそのまま実行するというわけではない」と述べた。

 つまり第44条によって政党解党処分は可能であるが、容易に実行できるわけではない。なぜなら、その権限はNCPO議長に属するものであり、ECが持っているわけではない。もしECがタイ貢献党の違法行為を認め、解党処分が相応しいと判断しても、NCPO議長がそれに同意しなければ、第44条の強権は行使できず、ECは自前の権限を代わりに行使せざるを得ない。

 ソッシー・サタヤタム元EC委員は、NCPO2014年第57号声明によって、2007年憲法付属政党法の政党解党規定は現在も有効であるとの見解である。もしEC委員長が政党登録人の立場として、タイ貢献党が違法行為を行ったと判断し、その違法行為を証明したら、政党法第94条の規定に従って解党処分になるであろうか。「ソ」委員は、「第94条は、政党解党処分が下される事例について規定している。それは、民主主主義政体を転覆させること、政府の安全を脅かすような行為を行う、選挙での違法行為などである。個人的には、タイ貢献党幹部達の行為が国民投票法違反に該当したとしても、それによって、政党解党の理由にはなり難いと考える」。「もし、本件を法的に処分を下すとすれば、政党ではなく、刑法116条の規定によって個人が処罰されることになり、解党されることは難しいと考える」と述べた。

 同様にセーリー・スワンナパーノン国家改革推進会議・政治改革推進委員会委員長は、「意見表明をしたタイ貢献党幹部の一部が政党役員だとしても、政党解党処分の理由にはなり得ないであろう。NCPO議長がそれが違法であるかどうか判断をしなければならない。個人的には、これはタイ貢献党の政治家個人による意見表明に過ぎないものと考える」と述べた。