ポストトゥデイ・オンライン版は、「シラパアーチャー家の足をへし折り、プアタイ党を孤立させる」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 タイ国民発展党(チャートタイパッタナー)は、タイ政治において数十年の歴史と伝統のある政党の一つであり、チャーチャイ・チュンハワンとバンハーン・シラパアーチャーという2人の首相を輩出してきた。タイ国民発展党が以前に政治活動を行ってきたのは、この党名でなく、「タイ国民党」(チャートタイ)であったが、2008年に憲法裁判所によって解党処分を下された3つの政党の一つとなり、新しく政党を設立し、新しい名称に変更せざるを得なくなったのであった。

 政党解党処分を受けたことが、同党の重要な転換点となったが、これまで党の全てを取り仕切ってきたバンハーン元首相が2016年の突然死去したことにより、同党は、それ以上の大きな変化に直面することになった。それから1年経過したが、未だにタイ国民発展党は、指導者を欠いたままであり、今後どの方向に向かっていくのか不明確なままとなっている。これまでにシラパアーチャー家の子息達は今後も政治を続けることを表明しているものの、常に変化し続ける政治の激流をどうやって乗り越えていくのかという大きな疑問点が持ち上がっている。そのためにタイ国民発展党は、タイ貢献党と合併するかもしれないとの噂が広がったのである。

 「タイ国民発展党は、売却されるようなことも、乗っ取られるようなこともない。政党は合併するような企業ではないからである。タイ国民発展党は、党の全員にとっての誇りであり、従って、売却するようなことがあれば、それはバンハーンの魂への背信に等しいものである。タイ国民発展党は、自分達が大きな政党ではなく、中小政党に過ぎないと思っている。党の政策方針は、実行推進できるものだけにしてある」とバンハーンの唯一の息子であるワラウット・シラパアーチャーは述べた。

 (タイ国民発展党とタイ貢献党の)2つの政党が合併する可能性をについて考えると、両党の地盤とする選挙区がある程度重複しているため、その実現はかなり難しいことをが分かる。特に中部地方のスパンブリ、アントーン、チャイナート、シンブリ、ナコンサワンなどであり、それ以外に東北部の一部もそれに該当する。つまり、もし両党が一緒になれば、かなりの党内対立を生じさせることになる。それに両党が合併すれば、(タイ貢献党の)敵対勢力が余計に攻撃の標的として狙ってくることになる。従って、タイ国民発展党は、今後も独自政党のままであり続けることになるだろう。仮にタイ貢献党と一緒に活動をするのであれば、それは、これまでのように連立政権として協力するということに過ぎないだろう。タイ国民発展党の幹部達は、今後もこれまでの政党として活動していき、どの政党とも合併しないことを全員一致で合意した。

 タイ国民発展党とタイ貢献党は、政治的に良好な関係を続けてきたので、両党が合併することを防ぐために、石を投げつけるような噂が流れたのである。タクシン・シナワットがタイ政治で強い権力を握っていた期間であるタイ愛国党時代、タイ貢献党時代と2回もタイ国民発展党は、連立政権を組んでいたことを忘れてはならない。選挙をボイコットしたことや、民主党の連立政権に加わることで、一時的にタイ貢献党と距離が遠くなったこともあるが、それは状況がタイ国民発展党にそのように振る舞うように迫ったからであり、つまり水の流れに従ったに過ぎないのである。

 両党の緊密な関係により、次回の総選挙の際に、両党は再び連立政権を組もうとするのではないかとの分析が導かれたのである。タイ貢献党の敵対グループは、タイ貢献党を政治的に孤立させたいので、そのような動きを最初から封じるべく計画を立てたのである。未だ選挙ルールも完成していない中、注目の人物を封じる動きの始まりが見られたのである。つまり、これからの政治状況は、これまで以上に熱く沸騰してくることになる。