トンナムのタイ政治経済研究室

タイ政治の解説、分析などを中心としたタイ研究の専門家によるブログです。

2016年07月

民主党とPDRCの関係に関する評論記事

ポストトゥデイ・オンライン版は、「PDRCと民主党は国民投票を分かれて進む」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下の通り。

 アピシット民主党党首が、国民の権利、汚職対策、国民対立の問題を解決できないことを理由に挙げ、憲法草案に反対であるとの立場表明を行った。もし憲法草案が国民投票で否決された場合には、プラユット首相兼NCPO議長が自らが主導して、以前に国民投票で承認された2007年憲法に基づいて、それを修正するような形で、新しく憲法草案を起草し直すことを提案した。

 この立場表明に関し、賛否が分かれている。アピシット党首が、憲法草案に賛成するにしろ、反対するにしろ、それに同意するグループと反対するグループがいることは、現在の社会対立の状況下では普通のことである。注目すべき点は、調整するのが困難な程、PDRCと民主党の関係が分裂していることである。ステープ・トゥアクスバンPDRC幹部は、毎日、フェイスブック上で憲法草案のメリットを賞賛することで、賛成の立場を明確にしている。他方、アピシットの立場は、憲法草案はデメリットの方がメリットよりも多いと見ている。

 アピシットの立場表明は、単なる民主党党首の個人的な立場であり、党としての決定ではなく、民主党員を厳格に拘束するようなものではないものの、オンアート・クラムパイブン副党首は、党首による立場表明は、党の決定に近い性質のものであり、民主党の慣習としては、党員はそれに従うべきものであると見ている。重要なことは、アピシットは当初より、単なる個人ではく、1946年結党時以来の民主党の理念に基づき、党首の立場での立場表明をしたのであった。曰く、「好きではないとか、個人的に好まないとかではない。この立場表明は、民主党の重要な理念に基づくものであり、タイの未来への答えを追求したものである。憲法草案の内容がタイに相応しいものであるかという基準で、賛成するか反対するか検討したのである」と。

 問題はPDRC派の民主党員である。多くの人が、PDRCと民主党の関係を強調し、党首の立場表明は自分には興味が無いとの立場を示していた。ターウォン・セー二アムPDRC幹部は、「しっかりと検討し、憲法草案に賛成することを表明した。意見の異なる民主党党首及び党員の立場を尊重しつつも、この憲法草案はタクシン体制による民主主義の問題を解消することができると信じている。自分は未だに同様に民主党の理念を持ち続けている」と語った。これは、ステープの息子のシェーン・トゥアクスバンのフェイスブックの投稿、「アピシット氏は良い事を言っている。理由もある。これを聞かなかったタイ人は勿体ない。賛成しても、反対しても、潮流に従って、罵倒するものばかりである。もし自分がアピシット氏だったら、民主党党首から辞任し、政治活動を止め、国連なりWTOなりの国際機関の仕事に行く」と一致している。

 他方で民主党員(党首派)は、アピシット党首の立場表明を支持する動きがみられる。ピチェート・パンウィチャーティクン元クラビー県選出下院議員、オンアート・クラムパイブン副党首、二ピット・イントラソムバット副党首、ブンヨーット・スクティンタイ元比例選出議員、ラチャダーポン・ゲオサニット元比例選出議員、ナット・バンタッタン元バンコク選出下院議員、オンアノン・ガーンジョンチューサック元バンコク選出下院議員、ラチャダー・タナディレーク元バンコク選出下院議員は、揃ってフェイスブックにアピシット支持の意見を投稿した。またチュアン・リークパイ顧問団長さえも、アピシットの決断を応援している合図を送り、民主党内の亀裂を目立つようにさせている。そして、この亀裂は、将来どのくらい修復できるのか分からない。

 今回のアピシットの立場表明後、以前よりも憲法草案が否決されるリスクが高まったことは違いない。たとえ数百万人もいる全ての民主党員ではないにしても、少なくない数の党員が今回の立場表明を民主党の理念に沿ったものであると見るようになった。タイ貢献党、UDD、NGO、「心配する市民ネットワーク」の憲法草案への反対の声と合わせると、8月7日の国民投票を不確実にさせるには十分である。

NCPOによる国民投票否決に向けた動きに関する評論記事

ポストトゥデイ・オンライン版は、「憲法草案否決に向けて潮流を作る:NCPOが長く居続けるために駒を打つ」と題し、NCPOによる国民投票否決に向けての動きに関する評論記事を掲載しているところ、概要以下の通り。

 8月7日の国民投票に向けての最終コーナーに差し掛かろうとしている現在、政治状況は、憲法草案への賛成派と反対派との間で徐々にエスカレートしている。投票結果がどうなろうと、NCPOの立場に直接的な影響を与えることは避けることができない。このイベントに関し、NCPOは、深刻に考えている。もし、憲法草案が否決されてしまった場合には、反対派は、NCPOに責任を取るように要求をエスカレートさせてくるからである。現在までのところ、NCPOは、状況をコントロール出来ることに自信を持っているものの、実際にその状況がやって来れば、NCPOは、政権運営を不安定にさせる程の様々な要求に直面することになる。

 憲法草案否決を目指す潮流は徐々に勢いを増してきている。先日、様々な派閥からの学者、政治運動家で構成される「心配する市民ネットワーク」にタイ貢献党、民主党、タイ国民発展党の政治家まで加わり、同グループは、NCPOに対する以下の5項目の要求事項を発表した。
(1)全ての国民が議論し、意見表明を出来るようにすること。
(2)憲法草案が否決された際の代替プランを明確にすること。
(3)もし憲法草案が否決された際には、全てのグループが起草に参加すること。
(4)もし上記の(1)~(3)が実現された場合には、全ての人々が国民投票の結果を受け入れること。
(5)憲法は、民主主義に則り、自由権を保護し、監査メカニズムがあり、権力のバランスがあり、具体性のある改革を伴うこと。
このグループは、直接的に憲法草案の否決を要求しているわけではないが、もしNCPOが上記の要求に従わない場合には、憲法草案否決に回る可能性が高いと考えられる。

 それ以外にも各機関の世論調査は、公表されているものも、非公表のものも含め、賛成と反対が良い勝負となっている結果が出ている。つまり、国民投票が否決される可能性は高まっている。

 NCPOのアドバイザーは、この状況を把握しており、憲法草案を否決させる潮流を作り出そうと努力している。つまり、憲法草案が否決されることで、プラユット首相が国家改革が終了するまでその座に留まり続けることができるようにすることである。この潮流を作り出そうとしているのは、パイサーン・プーットモンコン・プラウィット副首相兼国防大臣付政務補佐委員である。

 「私は、憲法草案に反対することを表明させていただく。憲法草案が可決されようと否決されようと、ロードマップ通りに沿って進むことになる。誰が勝利して、誰が敗北したなどと言わないように。もし、そういう言い方をするのであれば、もし憲法草案が否決された場合は、国民の勝利であると言わせてもらう。国家改革を完了させることを望む国民の勝利である。憲法草案を否決させようとする多くのグルーがいる。なぜなら、プラユット首相にこの先5年~20年、国家運営を任せたいと思っているからである。5年なのか20年なのか議論はまだ分かれているものの、それは些細なことである。もし憲法草案が否決されれば、これらのグループの勝利であることは一緒である。我々は意見が異なってもタイ人同士である。憲法草案が可決であろうと否決であろうと、国家が静かになり、国民が団結する。それで普通に商売を出来るようになれば、それで十分だ。」

 上記の中でパイサーンは、明確に述べている。憲法草案を否決することは、プラユット首相に20年、その座に止まり続けることを望むことである。否決された場合には、NCPOが思いのまま、権力を持ち続けられるように、どのような形にでも新たな憲法草案を起草することができる。もし憲法草案が可決してしまったら、政治家が再び戻ってくることになり、権力を分け合うことになり、NCPOはこれまでの権力を失うことになる。

 この「将棋」が成功すれば、NCPOの権力は即座に確実なものとなる。国民投票がどのような結果になろうと、NCPOは安心できる。つまり国民投票が可決されれば、そのままメカニズムに従って進めていけば良い。憲法草案の反対派が指摘しているように、総選挙が実施されても、憲法に規定されたメカニズムを使って、NCPOは権力を維持し続けることができる。他方、憲法草案が否決されても、NCPOに出て行って欲しいから、否決したのではなく、国民が国家改革が完了するまでNCPOに留まり続けて欲しいと望んだからであるという説明を使えば、NCPOは何も失うことがなくなる。

 「選挙の前に改革を」という目標から考えれば、NCPOは長くその座に留まり続けるだろう。現在の反対派の勢力では、NCPOに張り合えるグループはいない。従って、憲法草案が可決されようと否決されようと、NCPOは長く居続けることが出来る。今回のパイサーンの動きは、8月7日の国民投票後にどのような事態が発生しようと、NCPOは、全ての準備が出来ていること、つまり、「将棋の詰み」の手を打ってあることを示しているのである。

民主党と国民投票に関する評論記事

マティチョンは、ソムマイ・パリチャット・マティチョン社副社長による民主党と国民投票に関する評論記事を掲載しているところ、概要以下のとおり。

 オンアート民主党副党首は、SNS上で出回っているアピシット民主党党首を含む幹部達が憲法草案の否決を呼びかける発言を引用した写真付きメッセージについて、民主党が作成したものではなく、誰が作成したのかも不明である説明した。

 誤解から自分を守るために説明する権利はある。このメッセージに使われた民主党幹部達の発言は、メディアへのインタビューに答えた一部のみが切り取られたものであった。興味深いことは、これを誰が、何を望んで作成したのかである。

 民主党幹部達は、誤解を解くために、このメッセージの作成を否定したに過ぎず、党としての憲法草案への立場を名言することは、依然としてしないままであった。なぜだろうか。民主党は、NCPOが政党の会議開催を禁止しているので、党の方針を決議できないことを理由としてあげている。だが一方で民主党幹部達は、個人的な立場として、憲法草案に賛成か反対か、その理由に関しての意見表明はしているのであるから、自由投票とはいえど、党員に対して、その意見を反映させ、どのような行動をとるべきか合図を送ることはできる。しかし、民主党は、NCPOに対して憲法草案が可決しなかった場合には過去の憲法を施行するのか、新たに起草し直すのか明確にせよと主張するだけで、それ以外には何も語らず、この点に関して明確な立場を示そうとはしない。

 民主党が立場を明確にしないことで、「気怠さ」を生み出している。これはNCPO及び政府が(憲法草案が否決された場合にどうするのか)明確に立場を示すように要求されているのにもかかわらず、「2007年憲法を改正して手続きを進める」(と漠然とした)回答した以外には、現在まで未だに何ら回答がないままになっているのと大差ないことである。双方が、気怠さを作り出している。これが投票者の決断に影響を与えることになるが、それが彼らにとって、何らかの利益になるのであろうか。

 民主党は、党としての利益と公共の利益の間で決断しなければならない。民主党は立場を明確にすることに不安を感じていると思われる。もし、可決する方針を決めれば、民主制を後退させることに同意したとして、政治的に信用を失う。他方で、もし否決する方針を決めれば、国民投票に影響を与えることになってしまい、権力者を不満にさせることになる。そうなれば、将来、政権の座に就くことを支援してくれるチャンスを失うことになる。

 NCPOと政府は、過去のどの憲法を施行するのか明言してしまえば、その憲法が今回の憲法草案よりも革新的内容であれば、否決の投票数を増やすことになってしまう。他方で、(次の憲法草案が現在の草案よりも)後退するような場合には、現在の憲法草案を賛成するように強制するようなものである。ただ、これは政府のイメージを傷つけ、NCPOへの批判の声を強めることにもなる。よって、NCPOと政府は、方針を明確にすることよりもカードを切らずに曖昧にさせて置く方が利益が大きいとみている。

 以前には、ボーヴォンサック版憲法草案が否決された。同草案の「国家和解改革戦略委員会」の規定が国家改革委員会が否決を決断した理由の一つであった。今回の憲法草案による追加質問では、NCPOが選出した上院が選挙で選出された下院と一緒になって首相を選出することができる。その上、憲法付属法では、国家改革のメカニズムを規定することになる。内容は、この前の憲法草案とほとんど変わらないどころか、人によっては、より酷い規定になったと見ている。この前の憲法草案は、国民が直接選択したわけではないが、今回の憲法草案は、国民が直接選択するわけである。有権者はどのように投票するだろうか。

プラユット首相とプラウィット副首相の対立に関する評論記事

ポストトゥデイ・オンライン版は、「プラユットはプラウィットと対立、オンブズマン任命の道を閉ざす」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下の通り。

 以前にも国家立法会議(NLA)で問題となった国家オンブズマン委員の選出が大きな問題になり、プラユット首相兼NCPO議長が暫定憲法第44条の強権発動によって問題解決に乗り出さざるを得なくなった。7月13日、プラユット首相は、2016年第40号NCPO議長命令を発出し、独立機関及び憲法裁判所の役員選出を中止させた。中止となった機関は、選挙管理委員会、国家オンブズマン事務局、国家汚職防止委員会、国家人権委員会である。

 この命令を発出した理由としては、国民投票の結果を見届けて、新しい憲法の規定に従って、独立機関役員を選出するためと説明されているが、今回の44条発動の真相は、国家オンブズマン委員の選出を中止させることであった。

 先日のNLAでの国家オンブズマン委員の選出に際し、大きな問題が起こった。以前にもNLAの選出委員会が選出したものの、NLA総会で賛成66票対反対66票、棄権24票で国家オンブズマン委員就任を否決されたレーワット・ウィサルットウェーット医師が再び国家オンブズマン委員候補として応募し、選出委員会から4票対2票で選出され、NLAに人事承認を求めてきた。選出委員会は、(1)ウィラポン・タンスワン委員長、(2)ヌラック・マープラニーット憲法裁判所長官、(3)ピヤ・パタンター最高行政裁判所長官、(4)ポンペット・ウィチットチョンチャイNLA議長、(5)シラパチャイ・サラパクディー陸軍中将・最高裁判所大法廷代表、(6)アカラウィット・スマーウォン行政裁判所大法廷代表であった、

 このことによりNLA内部でレーワット医師の就任に賛成のグループと反対のグループに色分けされていった。反対派は、NLAの経歴倫理調査委員会の報告により、レーワット医師が以前にナタウットUDD(赤シャツ)幹部が商務副大臣在職時に顧問をしていた経歴があり、政治的に中立的でなく、国家オンブズマン委員に相応しくない人物と見ている。またレーワット医師は、以前にNLAにより人事を否決されたのであるから、法律で禁じられていないとはいえ、慣習的に再び選出されるべきではなかったと見ている。他方で賛成派は、レーワット医師は法的に欠格条件に当たっておらず、専門家で構成させる選出委員会によって選出されたのであるから、NLAは手続きを進めるべきであると考えている。

 この問題がNLAにおいて大きくなっていった。レーワット医師就任への反対派は、NCPO内の「兄貴」(当館注:プラウィット副首相兼国防相)がNLAにこの国家オンブズマン人事を承認させようとしているとの情報を得ていたから、より反対派が増えていったのである。反対派は、NLAの委員会を辞任することから動きを始め、国家オンブズマン委員の投票を誰が賛成したか反対したか知ることができるように記名投票にすることをNLA総会に提案しようと動いた。

 解決に向けて2つの努力が行われた。(1)レーワット医師に辞退させ、取り下げさせて再度別の候補を選出し直す、(2)NLA議長に国家オンブズマン委員の人事承認決議を対立が収まるまで無期限に延期させることであった。だが、この2つの解決策は、使えなかった。レーワット医師は辞退せず、NLA議長は選出委員の一人であり、利益相反になってしまうからであった。

 最後にはプラユット首相が、44条の強権により選出を中止させることになった。注意深くみると問題はより根深い。NLAに指図し過ぎるカリスマであるプラウィットの脚に蹴りをいれるという合図を送りたかったのである。このためNCPO議長命令で、独立機関委員の選出への道を閉ざしたのである。今回はNCPO議長による強権発動により国家オンブズマン委員の選出を中止させ、火消しを行ったが、NCPO内部での対立のサインが見えたのであった。

最高僧正の任命を巡る評論記事

ポストトゥデイ・オンライン版は、「最高僧正の任命は、プラユットの心を計る新しい時限爆弾」と題した評論記事を掲載しているところ、概要以下の通り。

 「焼きタロ芋」が再びプラユット首相兼NCPO議長の手の掌に戻ってきた。首相は(その職務により)サンガ最高評議会の決定に従って、最も年次の高い高僧の名前を第20代の最高僧正(プラプッタサンカラート)に任命すべく、国王に奏上しなければならない。プラユット首相がこの時限爆弾をどうするのか注目が集まっている。

 先日、国家仏教保護センター事務局長のメティータンマジャーン師(ジャオクン・プラサーン)が7日以内に政府に対して、サンガ最高評議会の決定に従って、手続きを進めるように要請し、そうでなければ今後、全国で運動を起こすと述べた。手続きを進めるか、進めないかの決断をすることは簡単なことではない。なぜなら、どちらを選択しても、やっとロードマップのゴール目前となったNCPO政権の安定性を損なわせることになるからである。

 高僧側は、プラユット首相に今年1月のサンガ最高評議会の全会一致の決定に従って、ソムデット・プラマハーラチャマンカラチャーン(チュワン・ワラブンヨー)パークナム・パーシーチャルン寺院住職・最高僧正代行の名前を奏上するように要求している。一方で、パイブン・ニティタワン元国家改革会議議員及びプッタイサラ師(スウィット・ティラタムモー)・オーンノーイ寺院住職は、ソムデット・プラマハーラチャマンカラチャーン最高僧正代行が、未だ不正の疑惑がかかっている身であるとして、最高僧正就任に反対する国民30万人の署名を集め、任命の前に不正調査を実施することを要求している。双方のグループを評価すれば、双方共に背後に大勢の人々が控えている。なので、どちらかを一方を選択すれば、その選択を気に入る人々と気に入らない人々を生み出してしまう。彼らは、騒ぎを起こす準備をしているという合図を送ってきている。

 これまでプラユット首相は、早急にどちらかの手続きを進めようとしなかった。なぜなら、問題が波及し、混乱し、暴力的な事態にまで至って、憲法起草や国家改革、行政運営といった政府の職務へ影響が及ぶことを恐れたからである。最高僧正の任命手続きは、首相の権限で進められるのか、それともサンガ最高評議会の決定を元にして進められるのか、という問題を法制委員会に送致して、1994年サンガ法第7条の解釈を命じたことは、プラユット首相にとって、呼吸を整えるだけの、ちょっとした時間稼ぎであったようにみえる。少なくとも、今後どのような手続きをするのか決断する前に社会の声を確認することはできた。最後に法制委員会が上奏手続きが第7条に従って進めなければならないと判断を下せば、避けようもなく、通常通りに手続きを進めるまでである。

 先日、プラユット首相は、「誰かの権限は誰かの権限である。私はどんな職務があるのか。上奏する職務があるのか。それじゃ、問題がある中で私は上奏することが出来るのかどうか。もし出来ないのであれば、問題は終了である」と述べている。「Kho.Mo.99」ナンバーのメルセデスベンツ(当館注:ソムデット・プラマハーラチャマンカラチャーン住職の高級クラッシクカー)を所有している事件は、プラユット首相がもう少し時間稼ぎをするのに十分な重要性のある理由となる。まだ事件の真相が明確になっていないままで、即時に上奏することは、妥当な選択ではないからである。この事件は、それほど大きな事件ではないが、将来に問題を生じさせないためには、明確にさせておくべきことである。既に法務省特別捜査局(DSI)が、この事件の捜査を80%まで進捗させており、残りの証拠書類を海外から到着するのを待っている段階である。海外の会社から届けられる証拠書類は手続きを進めるに当たって重要である。パイシット・ウォンムアン警察大佐・DSI局長は、「実際のところ、DSIは一部の証拠を入手しているが、全部を揃えて置きたいので、ある程度の手続きの時間を要する」と述べた。

 プラユット首相は、「事件が終わるのを待たねばいけないのか?」との質問に対して、「考えつかない。手続きが終わるのを待っていたら、ケンカか何かが起こってしまいそうで怖い。国家の良いところばかり見ないように。何でも有りだから」と答えた。ケンカが起こってしまうことをプラユット首相は取り上げたことから、このままの状況をしばらく続けるという選択をしたということであろう。ただ、7日間の締切り期限に至れば、メティータンマジャーン師は、サンガ最高評議会の決定に従って任命手続きを進めることを要求してくる。政府に対し、仏教団体がデモを実施し、それが激しい対立を生み出す前に対処することを望んでいる。メティータンマジャーン師グループは、当局から追及を受けているタンマガーイ寺院グループとの関係を有し、支持者を糾合し、影響力を強めている。プラユット首相は、この時限爆弾をロードマップに影響を与えないように最後にどのように処理をするのか見物である。

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